「母親失格」「時代にそぐわない」と批判された過去も…26年間セーラームーンコスプレを続ける…

2025/03/18 07:00 

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うさこさんのコスプレビフォーアフター

 「美少女戦士セーラームーン」のコスプレを中心に、クオリティが高いコスプレ姿を日々Xに投稿しているうさこさん。そんなうさこさんが投稿したコスプレを始めた26年前当時の写真は11.8万回表示され、「太ったりしないのがすごい」「『好きこそものの上手なれ』とはこういうことですね」と注目を集めている。セーラームーンコスプレを始めたきっかけや長い間“好き”なものを追求し続ける方法について、投稿者・うさこさんに話を聞いた。

【写真】「進化しすぎてる!」26年間の集大成、現在のうさこさんのセーラームーンコスプレ

■26年間続けた、身体のトレーニングとポージング練習…子ども時代からセーラームーンに強い憧れ

――うさこさんがセーラームーンのコスプレをはじめたきっかけについて教えてください。

【うさこさん】子ども時代にセーラームーンに強烈な憧れを抱き、どうやったらセーラームーンになれるのか悩んでいたそんなある時、学校の友人から地元にコスプレができる同人イベントがあると教えてもらい、コスプレの文化に触れました。初めてのコスプレは洋裁ができる近所の方に作ってもらったスーパーセーラームーンの衣装で、ブーツはお母さんが市販のものに赤いサテンを貼って仕上げてくれました。髪は長年セーラームーンに憧れて伸ばしていた地毛をお団子に結いました。そこから一気にコスプレ沼に沈み、気付けばあっという間に26年経っておりました。

――Xにご投稿された26年前のお写真も話題になりました。まだコスプレをはじめたばかりの26年前はどのようにコスプレをされていたのでしょうか? 現在との違いについて教えてください。

【うさこさん】当時は同人イベントの一角で、コスプレ友達と交流するのがメインの活動でした。デジカメも普及してなく、使い捨てカメラで撮ってお店で現像してもらっていたのですが、引き取りに行ったときの確認する時間が気まずかった思い出があります。衣装やウィッグも売っていないので衣装は自作するしかなく、髪は地毛をアレンジすることが多かったです。手軽に買える100均も最初は無かったので、手袋や小物一つ探すのにも苦労しました。そこから安価のウィッグが出始め、カラコンやつけまつ毛、ボディスーツなども普及していってからは、界隈全体のクオリティが一気に上がっていきました。

――現在のうさこさまのセーラームーンのコスプレ姿となるまでに、どのような努力をされたのでしょうか?

【うさこさん】まず全てにおいて大事なのは、続けていくことです。どんなこともすぐには形になりません。上手くいかなくてもどうしたらより良くなるか、根気よくトライしていく意欲が大切です。衣装製作も、私はどちらかというと大雑把で不器用なので繊細な作業には不向きなのですが、20年以上時間をかけて少しずつ、数にして200着以上のセーラー戦士を制作し、改良を繰り返して来ました。まだまだ不十分な所ばかりで伸びしろはありますが、満足するとそこがゴールになり終わってしまうので、これからも可能性を追って精進していきたいです。  

――ほかにも実践されたことは?

【うさこさん】表現力やポージングなども高めていかないと華麗に変身は出来ないので、日々イメージと身体のトレーニングは欠かさないようにしています。セーラー戦士のポージングはつま先から指先まで、全身のしなやかさが必要になってきます。ですので、ジムでは毎週ストレッチをメインに、可動域を広げるトレーニングをしています。根を詰めすぎると続かないので、健康維持のための運動にプラス少しの負荷くらいのイメージで、これくらいなら続けていけるという自分のペースを見つけて習慣にしています。

■体型維持に必要なのはセルフコントロール、コンプレックスも自身最大の魅力に

――Xには、26年前と現在のうさこさんの写真を見た方から、「太ったりしないのがすごすぎる」というコメントもありました。体型を維持するための方法、ポイントなどを教えてください。  

【うさこさん】実は二度の出産を経て、昔より5キロは増えていたりします。でもセーラー戦士は骨盤がしっかりしているほうがスカートが広がり、体のラインもメリハリが出て見えるので、ガリガリだった当時より良くなった部分もあります。ただこれ以上は許せないので、日々必死に増えないよう堪えています。大事なのは自分の現状を知っておくことなので、体重計に一日一回は必ず乗る癖をつけています。

――食事面はどのように意識されているのですか?

【うさこさん】やっていることはごく普通の事なのですが、筋肉維持にタンパク質は大事だからこまめに取る、甘いものが好きでそこは我慢しすぎると疲れるから、お菓子を食べた分は主食を減らして調整する。野菜多めにしてお腹を満たす。現状維持を心掛け、大袈裟なことはせず細々と続けていく。そして最後はもう、セルフコントロールです。「これ以上太ったらセーラー戦士になれない…」と自分に言い聞かせ、少しだけ我慢します。

――コスプレをする上で、ご自身がコンプレックスに感じるようなパーツや部分はございましたか?

【うさこさん】コンプレックスは他の人とは違う際立った部分であり、それって実は自身の最大の魅力なのだと気付いて向き合っていくのが私は良いなと思っています。自分の場合は顎が出てエラが張っているところがコンプレックスでして。歯を出してニカっと笑うと顎が目立つので、口を閉じて笑ってみたりもしたのですが、それだとうさぎちゃんのような元気なキャラが全然合わないんです。そうして自分らしさよりもキャラらしさを追求し、堂々と見せていたら段々気にならなくなっていきました。他人から「歯を出して笑うとセクシーですよ」と言われた時はそう見えたりもするのか!と目から鱗でした。今は顎とエラがしっかりしていると輪郭がシャープに見えるし、二重顎になりにくいのも利点だなと思っています。

■推し活の普及で周りの反応が変化「安心して心を預けられる存在に出会えたことに感謝」

――26年間セーラームーンのコスプレを続けられているということで、どのようにモチベーションを維持されてきたのでしょうか?

【うさこさん】モチベーションはもはやDNAに愛が刻まれていて、呼吸を止められないのと同じく湧き出て来るものなので特に維持しようと心掛けたことはありません。むしろそれがあるおかげでここまで、自分らしさを貫いて来られたのだと思っています。ですので、好きなことを追求していくこと自体は何も大変ではありません。セーラームーンには様々な価値観を持った個性的なキャラクターがいて、みんな自分らしく活き活きと輝いています。その姿に憧れ、自分の好きを信じて歩んで来られました。

――セーラームーンという好きなものを追求していくにあたって、ご苦労された点はありましたか?

【うさこさん】私は子どもの頃からセーラームーンと共に色んな時代を見てきて、そして要所で他人から、色々な見られ方をされてきました。学生時代はなかよし全プレルナのペンケースを制服の胸ポケットに入れていると笑われることもありました。結婚して出産した後は「親になってもまだコスプレしていて母親失格」と、当時の時代にはそぐわないと批判されたこともありました。「推し活」という言葉が普及し、価値観の多様性が認められてきた昨今では、どちらかと言うと「励みになる」など、お褒めいただくことが増えてきた気がします。私自身当時から何一つやっていることは変わっていないのですが、時代によって周りの反応が変化していくのは興味深かったです。

――「推し活」という言葉が普及したことで見え方が変わっていったんですね。

【うさこさん】そんな30年を振り返ってみると、他人からの良い悪いの評価などその時々でほんの一瞬過ぎ去っていく、ただの景色だったなあと感じることができます。自分が自分らしい形であるために、他者との区切りをしっかりさせ、他人の意見を尊重し、自分の意見も尊重してもらえるような生き方を目指していきたいです。

――うさこさんにとって、セーラームーンはどのような存在になっていますか? また、今後の目標や目標を教えてください。

【うさこさん】セーラームーンは私に無限のときめきを与えてくれる存在であり、心の中に深く根付いた巨木です。安心して心を預けていられる存在に人生で出会えたことに感謝したいです。私の目標は人生最大のセレモニーであるお葬式を、華々しく迎えることです。具体的に言えばセーラームーン葬がしたいです。そこまで順調に行き着くために逆算して、今を大切にしていきたいです。生活の基盤をしっかりさせ、家族の健康を何よりも大切に。頭と体を動かし、極力ストレスを溜めないこと。まず心が健康でないと推し活は出来ないのです。人間の活動できる時間は実はあまりに短く、やりたいことをやりきるには寿命は到底足りません。人生を共に歩んできたセーラームーンと別れるその日を切なくも清々しく迎えるために、これからも巻き巻きで推し活に励んでいかねばと思います。
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