『E.T.』『ジュラシック・パーク』のDNAを受け継ぐ、ルッソ兄弟の新作『エレクトリック・…

Netflix映画『エレクトリック・ステイト』独占配信中(左から)アンソニー・ルッソ、コスモ、ジョー・ルッソ

【動画】Netflix映画『エレクトリック・ステイト』最終予告
原作はシモン・ストーレンハーグのグラフィックノベル。出演者にはミリー・ボビー・ブラウンとクリス・プラットのほか、ジョナサン・キー・クァン、ジェイソン・アレクサンダー、ジャンカルロ・エスポジート、スタンリー・トゥッチ、ウディ・ノーマンらが名を連ねる。また、アンソニー・マッキー、ウディ・ハレルソン、ブライアン・コックス、ジェニー・スレイト、アラン・テュディックらがロボットたちの声を担当している。
アンソニーは1970年、ジョーは1971年生まれ。ルッソ兄弟が青春時代を過ごした90年代への愛を込めて作り上げた本作。ロボットと人間の関係性、個人の自由と支配の問題、デジタル技術の進化――これらのテーマを、ファンタジーと融合させながら、観客に新たな視点を提供する作品となっている。本作の制作秘話について、ルッソ兄弟が語った。
――原作のどんな点にひかれて映像化を決めたのでしょうか?
【ルッソ監督】いくつか理由がありますが、シモン・ストーレンハーグによる原作(グラフィックノベル)のテーマがとても魅力的でした。“人類と技術の関係”は、便利さをもたらす一方で、時に危険な側面もある。これは現代の私たちにも当てはまることで、とてもタイムリーだと感じました。特に若い世代が直面している課題としてもリアルに響くテーマです。
次に、姉弟の関係ですね。戦争で引き離され、姉が弟を必死に探すという物語は、感情的に強く訴えかけるものがありました。
そして、シモン・ストーレンハーグのアートワークも素晴らしい。どこか親しみを感じる一方で、とても奇妙な世界観が描かれている。この世の中の本質や、人間の生き方について、多くの問いを投げかけてくる作品であり、視覚的にもクリエイティブな刺激を受けました。そうした理由から、「ぜひ映画化したい」と思いました。
――“ニューロキャスター”という架空の技術(仮想現実ヘルメット)が登場しますが、これは?
【ルッソ監督】自分たちのストーリーテリングでは、スマートフォンや移民問題など、現実にある出来事や社会の不安を、ファンタジーの中に織り込むことを意識しています。そうすることで、観客が新しい視点で物語を受け止め、偏見やバイアスを取り払った状態で考えることができるんです。それに、登場人物がスマホを覗き込んでいるだけでは画的に面白くないですよね。ニューロキャスターを通じて、もっとダイナミックで映像的に魅力的な表現ができるようにしました。
――ルッソ兄弟の作品には、常に“独善的な支配”への警鐘があるように思いますが、そのテーマを描き続ける理由は?
【ルッソ監督】現代社会は、かつてないほどの混沌と変化の中にあります。90年代から続くデジタル技術の進化によって、人々の生活は大きく変わりました。その中で、テクノロジーを“制御しよう”とする動きも出てきています。これは、まるでシーソーのようなバランスなんです。新しい可能性が生まれる一方で、それを危険視する動きもある。そんな時代の中で、私たちは“支配されることから逃れたい”という本能を持っているのではないでしょうか?
映画の中では、個人の自由と、大きな社会構造との対立を描いています。小さな個人の物語と、広大な世界の問題がどうリンクするのか――そうした視点で作品を作ることに、私たちは常に興味を持っています。
――弟が好きだったアニメのキャラクターのロボット・コスモが現れたことで、死んだと思っていた弟を探しに行く決意をしたミシェルは、密売人のキーツ(クリス・プラット)と彼の相棒ロボット・ハーマン、さらにユニークなロボットの仲間たちと出会っていく。そして、クリストファー失踪の背後に想像を超えるほどの巨悪の存在があることを知り、マーベル作品のような“衝突”が起こります。
【ルッソ監督】ミスター・ピーナッツ、ベニバリア、ポップフライ、ハーマン、パープレクソ、コスモ…どれも我が子のように愛着があります。本作では、ドローンなどの最新技術を持つ勢力と、ヴィンテージなロボットたちが戦うという構図になっています。そのため、戦闘シーンにもユーモアを取り入れつつ、アナログな要素を大切にしました。
――おふたりは90年代に青春時代を過ごされましたね。当時はスマホやSNSがなかった分、人と人が実際に会ってつながる良さがありました。
【ルッソ監督】そうですね。本作には個人的な感情や記憶がたくさん詰まっています。細部にもこだわりました。例えば、劇中の音楽やファッションも、90年代の雰囲気をしっかりと再現しています。また、映像のトーンとしても、アンブリン・エンターテインメント(『E.T.』『ジュラシック・パーク』などを手がけた映画スタジオ)の作品を意識しました。90年代の映画は、家族で楽しめるエンタメ作品でありながら、深いテーマを持つものが多かったですよね。本作も、そのスタイルを踏襲しています。また、本作の音楽を手がけたのは、名作映画の作曲を数多く担当してきたアラン・シルヴェストリ。彼のスコアによって、90年代の雰囲気をさらに引き立てることができました。
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