マンガ大賞2025『ありす、宇宙までも』に決定 少女が日本人初の女性宇宙飛行士船長になるま…

2025/03/27 14:14 

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マンガ大賞受賞した『ありす、宇宙までも』

 書店員を中心とした各界の漫画好き選考員が「今、この瞬間一番おもしろいマンガ」を選ぶ『マンガ大賞2025』の授賞式が27日、都内で開催され、『ありす、宇宙までも』(作者:売野機子)が大賞に選ばれた。

【画像】画力がすごい!マンガ大賞受賞『ありす、宇宙までも』の記念イラスト

 『ありす、宇宙までも』は、週刊ビッグコミックスピリッツにて連載中で、1人の少女が日本人初の女性宇宙飛行士船長になるまでの物語。主人公の朝日田ありすがクラスメイトの天才・犬星と出会い、彼の力を借りながら、亡くなった両親がいる天国に近づくために、宇宙飛行士になるための猛勉強を始めていく姿が描かれている。

 今回の受賞に作者・売野氏は「うれしいです! マンガ大賞がほしくて、始めたのもあったんで、受賞できてめちゃくちゃ安心したし、うれしいです。ありがとうございます。マンガ大賞さん限らず、編集部の皆さんに『一位獲ります!』って言って始めたので、有言実行できて安心しました」と喜んだ。

 本作誕生の経緯については「もともと少年誌のほうで作った企画で、6、7年くらい、大きな目標を打ち立てて、そこに向かって邁進するっていうネームをいっぱい描いていて、でも連載会議でも通らなくて。少年誌さんから『もうちょっとやさしいホッとするような漫画を書きましょう』って言われて、男女で一緒に勉強をして絆を育む的なネームを描きました。いまの第1話をほとんど宇宙要素を抜いた感じのをおとししの3月とか4月とかに描きました」と明かした。

 その後の少年誌の会議では好評だったものの、「大きな目標」を求められた売野氏。修正案提出の指定が3ヶ月後だったため、許可を取った上で現在連載している『スピリッツ』に持ち込んだそう。

 また主人公・ありすが宇宙飛行士を目指すという設定については「すでに『ありす、宇宙までも』の枠組みが決まっている段階で、テーマを探しているときに宇宙って物理的に距離が離れているので、象徴として機能するかなと。明らかに自分がいる地点から離れている一番遠い職業で、一番大きな目標にするにはうってつけかなというのがまずひとつ」と説明。

 続けて「宇宙飛行士は誰もが憧れる職業。あと、宇宙飛行士はバイリンガルが条件なので、セミリンガルのありすと対極といったら、いまセミリンガルで悩まれてる方には失礼かもしれないんですけど、ありすとは一番遠いのかなというところでぴったりじゃんと」と伝えた。

 セミリンガルについては「すごい若いときに生んだので、インターネットでみんな子育てこんなしてるんだって初めて知ったんです。その中でバイリンガル教育が人気で、そこで知りました」とし、「実家にマルチリンガルの人が多くて、父、母、おばが3か国語、4か国語しゃべれるので、ずっと日本語しか喋れない自分やべえみたいな、って子どものときから不完全な状態みたいなものがあったので、そういうところからきたのかなとなんとなく思います」と、自分と重ねた部分もあったことを明かした。

 同賞は2008年に創設され今年で18回目となり、昨年1年間(2024年1月1日~12月31日)に新刊の単行本が刊行された作品のうち、最大巻数が8巻までの作品が選考対象。一次選考は、選考員が「人にぜひ薦めたいと思う作品を5作品」選出し、選ばれた238作品の中から得票数上位10作品(同率順位含む)がノミネート。そして、選考員が全ノミネート作品を読んだ上で二次選考を行い、1、2、3位を選定し、ポイント制で集計の上、1作品を「マンガ大賞」に選出した。

 なお、これまでの大賞作やノミネート作は、アニメ化のほか数多くドラマや映画化されている。2008年の第1回大賞『岳』(石塚真一、小学館)は小栗旬主演で映画化し、第3回の『テルマエ・ロマエ』(ヤマザキマリ)も阿部寛主演で同じく映画化。また、2012年大賞の『銀の匙』(荒川弘)はフジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」でアニメ化&中島健人主演で実写映画化し、2017年大賞の『響~小説家になる方法~』(柳本光晴)は、平手友梨奈主演で映画化。近年は大賞作品の『ブルーピリオド』(2020年)、『葬送のフリーレン』(2021年)などがアニメ化されている。

■『マンガ大賞2025』ノミネート作品
『ありす、宇宙までも』売野機子
『女の園の星』和山やま
『COSMOS』田村隆平
『この世は戦う価値がある』こだまはつみ
『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから(※ただし好感度はゼロ)』白川蟻ん、六つ花えいこ、秋鹿ユギリ
『図書館の大魔術師』泉光
『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』まるよのかもめ
『どくだみの花咲くころ』城戸志保
『ふつうの軽音部』出内テツオ、クワハリ
『路傍のフジイ』鍋倉夫

■歴代大賞作品
第1回(2008年):『岳』石塚真一
第2回(2009年):『ちはやふる』末次由紀
第3回(2010年):『テルマエ・ロマエ』ヤマザキマリ
第4回(2011年):『3月のライオン』羽海野チカ
第5回(2012年):『銀の匙 Silver Spoon』荒川弘
第6回(2013年):『海街diary』吉田秋生
第7回(2014年):『乙嫁語り』森薫
第8回(2015年):『かくかくしかじか』東村アキコ
第9回(2016年):『ゴールデンカムイ』野田サトル
第10回(2017年):『響~小説家になる方法~』柳本光晴
第11回(2018年):『BEASTARS』板垣巴留
第12回(2019年):『彼方のアストラ』篠原健太
第13回(2020年):『ブルーピリオド』山口つばさ
第14回(2021年):『葬送のフリーレン』原作:山田鐘人、作画:アベツカサ
第15回(2022年):『ダーウィン事変』うめざわしゅん
第16回(2023年):『これ描いて死ね』とよ田みのる
第17回(2024年):『君と宇宙を歩くために』泥ノ田犬彦
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