「がれきの下に…でも助けられない」 ミャンマー地震、重機なく

2025/03/30 20:13 

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 「がれきの下敷きになっていると分かっているのに助けられない」――。ミャンマー中部を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震の被災地では30日も救助活動が続くが、がれきを取り除く大型重機などがないまま、素手で救出作業を進めるしかない状況が首都ネピドーなど各地で継続している。一方、日本外務省によると震源に近い同国マンダレーで、崩壊した建物に住んでいた日本人1人と連絡がとれなくなっている。

 軍事政権が最も重要視するネピドーでも救助が全く進んでいない地区や建物が残る。毎日新聞の取材に答えた会社員の男性、ナイさん(43)は「近所の6階建てのビルが潰れて1階にいた警備員が閉じ込められた。新築のビルだったが今も沈み続けているので近寄れない」と悔しさをにじませた。

 ネピドー近郊で暮らすイスラム教徒の男性、ソーさん(45)は、救助が遅々として進まないことに不満を募らせる。金曜礼拝が行われていたモスクが倒壊して8人が下敷きになったといい、「がれきを撤去できたのは発生から8時間以上もたってからだった」と話した。

 避難生活を送る被災者への支援も進んでいない。さらなる地震を恐れて屋外で暮らす住民も多い。家族で木の下で寝泊まりしているという男性、ナンダさん(56)は「傾いた自宅から食料や必要な物を持ち出して過ごしている。怖いので家には戻りたくない」と不安そうに話した。日中は気温が40度前後まで上がり、こうした生活が長引けば体調を崩す人が増える恐れもある。

 第2の都市マンダレー周辺の状況はさらに深刻で、ネピドーに比べて救援や支援が遅れているとの指摘も出ている。日本政府は30日、緊急援助隊派遣に向けた検討を行うため、ミャンマーに国際協力機構(JICA)職員らによる調査チームを派遣すると発表した。

 一方、隣国タイの首都バンコクで建設中の高層ビルが倒壊した現場では30日、がれきの下敷きになっている作業員らの救出作業が続いた。タイ当局によると30日現在で11人の死亡が確認された。70人以上の行方が分からないままだ。政府は29日にがれきの下で15人ほどの生体反応を検知したと明らかにしていたが、大量のがれきに阻まれて救助は難航している。

 このビルで電気工事に従事していたファラ・ラタナさん(23)の安否も分かっていない。現場に駆けつけた母親(42)は「息子が1カ月前にここで働き始めてから会う機会が減っていた。ただ無事でいてと祈るしかない」と話した。【武内彩(バンコク)、畠山哲郎】

毎日新聞

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