俳優の横浜流星が主演を務める、大河ドラマ『べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～』（毎週日曜　後8：00　NHK総合ほか）。今回は、京ゆかりの“地本問屋”鶴屋喜右衛門役・風間俊介にインタビュー。作品の魅力や主演・横浜との共演秘話などを聞いた。

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　放送100年を迎える2025年は、日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、ときに“お上”に目をつけられても“面白さ”を追求し続けた人物“蔦重”こと、蔦屋重三郎が主人公。親なし、金なし、画才なし……ないないづくしの“江戸のメディア王”として時代の寵児になった快楽児・蔦重は、文化隆盛の江戸時代中期に喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝を見出し、日本史史上最大の謎の一つ“東洲斎写楽”を世に送り出す。脚本は森下佳子氏が担当。江戸時代の板元で浮世絵師の喜多川歌麿や葛飾北斎を世に出したことで知られる蔦屋重三郎の生涯を描く。

　放送開始から半年以上が経過し、さまざまな反響が風間のもとにも届いているという。改めて本作の魅力について「『べらぼう』という作品が素晴らしいなと思うのが、江戸の本屋さんたちの物語が、特に現代の働く人たちにもビジネスバトルの話として刺さる部分があると思います」と語る。

　さらに「蔦重は直感的だったり、気持ちや人との縁、思いみたいなものを大事にしている。一方で鶴屋は今までの伝統を重んじ、商人として気持ちだけでは動けない部分が多々あるキャラクターだと思うんです。蔦重が一代で始めて、伝統に縛られない新しいイノベーションだったり、フットワークの軽さというのは、伝統を抱えている鶴屋からすると、羨ましくもあり、ある種の妬ましい気持ちもあると思うんです。だから自分の立場では認めるわけにはいかない…。この対立は本当に面白いですよね」と熱弁した。

　そんな風間が演じる鶴屋喜右衛門は、鱗形屋孫兵衛（片岡愛之助）や西村屋与八（西村まさ彦）らをまとめる江戸市中の“地本問屋”のリーダー的存在で、新参者の蔦屋重三郎（横浜）と対立。草双紙や錦絵で数多くのヒット作を出版するとともに、山東京伝など若い才能を見いだしプロデュースするなど、蔦重とともに一時代を築いた…という役どころだ。

　蔦重の“ライバル”として、見事にヒール役を演じきっている風間に対し、視聴者からは「こんなに悪い風間くんは新鮮」などという声も少なくない。一方で本人は「30代は、寄り添う役というのを多くやらせていただきました。でも僕が20代、10代の頃はどちらかというと悪い役といいますか、何かを抱えていたり、一筋縄ではいかないようなキャラクターを多くやらせていただいていました」と回想し「僕としては、『イレギュラーな役が来た！』というより、『原点回帰、帰ってきたぞ！』という体感でやらせてもらっています」と笑顔で話した。

　29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、日本橋・通油町の灰の除去に奔走する蔦重を鶴屋たちが認めて和解する節目のストーリーを迎えた。対立関係の長かった鶴屋だが「間違いなく蔦重を認めていたと僕自身は思っています」と風間。「鶴屋は蔦重に対して、にこやかに嫌味を言ったりするんですけど、馬鹿にした笑い、嘲笑することはしていない。多分、ずっと認めているからこそ、認めてはならぬ…ということで進んできたのが、この第25回までだったのかなと思います」としみじみと振り返った。

　また、対峙するシーンが多かった主演・横浜の印象を問われると「国宝だと思います（笑）」と即答し「本当にストイック。物静かで作品作りに真摯に取り組んでいます。その黙々とやるタイプの流星くんが、カラッとした江戸っ子である蔦重を演じているということに痺れますね。蔦屋重三郎という豪快な人間を何のノッキングもなく、シームレスにアウトプットする姿は僕から見ても美しいです。顔だけではないんですよ、（横浜の）美しさは！」と賛辞が止まらなかった。

　共演シーンを重ねて「談笑する機会も増えてきたことが、僕にとってめちゃくちゃうれしいことですね。『僕の言ったことで横浜流星くんが笑った！』という喜びもあります」と笑顔で明かした風間。蔦重を“認めた”鶴屋が、今後のストーリーにどう関わっていくのか、注目したい。

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