『極悪女王』の“戦友”が再集結 ゆりやんレトリィバァ初監督作『禍禍女』に唐田えりか&白石和…
ゆりやんレトリィバァ(中央)初監督作品『禍禍女』(2月6日公開)に白石和彌監督(左)、唐田えりか(右)が出演(C)2026 K2P

【動画】映画『禍禍女』予告編
『極悪女王』の撮影を終えた今でも、ゆりやんとは頻繁に連絡を取り合う、親友のような関係だという唐田は、今回の出演について、「レトリィ(ゆりやん)の作品に、関わることができてすごくうれしいです」とその喜びを語る。「本当に、天才だと思っています。(『極悪女王』の撮影時も)自分がどう映っているか、どうすれば自分がどういう風に見えるのかということもしっかり把握していて、役者が映像の中でどう映るのかをとてもよく把握していた。本当に映画監督に一番向いているんじゃないかと思います」と、監督・ゆりやんレトリィバァに太鼓判を押す。
役どころについても、「『えりかにピッタリだと思うんだ!』と監督から言われたんですが…。自分でもピッタリかも!と思ってしまいました。とても楽しかったです!」と、振り返っている。
一方、本作でゆりやんが“監督としての指標”にしていたという白石は、「まさかゆりやん監督の映画に出るとは思っていなかった。でも、とにかく楽しそうだった」と撮影を回想。完成作については、「最初に思ったのは『100%ゆりやん汁でできているな』ということ。観る側の予想を見事に裏切り、誰も共感できないはずの物語が、いつの間にか胸を打ち、思ってもいなかった場所に着地する。衝撃作です」と、絶賛した。
さらに「初監督作品って、自分のやりたいことがあっても、作品に焼き付けられるのは良くて30%くらいなんですよ。でもこの映画は、実体験から出発した熱量が、ほぼそのまま全部詰め込まれてる」と、分析。「自分の痛みも怖さも面白さも、すべて映画に投げ込む覚悟がないとできない。これは単なる奇抜なホラーではなく、ゆりやんレトリィバァという人間そのものが一本の映画になっている。それが映画的。異常で、危険で、でも笑えてしまう。そのバランス感覚が最大の魅力。正直、嫉妬しました」と、最大級の賛辞を送っている。
ゆりやん監督と深い絆で結ばれた、唐田&白石がどんなシーンに登場するのか、劇場でチェックしたい。
■映画監督ゆりやんレトリィバァ & 白石和彌 特別対談
【ゆりやんレトリィバァ(以下、ゆりやん)】白石監督には今回、唐田えりかさんと作中劇のホラー映画の素材で出演していただきました。いろんな映画祭に行くんですけど、やっぱり観てる人は「あれ、白石さんちゃう?」って気づくみたいで毎回笑いが起きます(笑)。
【白石和彌(以下、白石)】まさかあんなことになるとはまったく予想してなかったんだけどね(笑)。現場に行って脱がされる経験なんてなかなかないから!でもゆりやんがすごく楽しそうだったよね。
【ゆりやん】『極悪女王』の現場でご一緒して思ったのは、監督ってもっと俳優に対して「こうしてほしい」を強く言う人やと思ってたんです。でも実際は全然違って。俳優に対してすごく信じてくれているところがあって。白石さんって、現場でよく笑うんですよね。あれって実は俳優にとってはめっちゃ自信になるんです。だから私もこの現場では白石監督を自分の中に下ろして、白石監督やったらこうやってくれるやろうなって思いながら、なるべく大きい声で笑ったり、オッケーイ!っていうようにしていました。
【白石】ありがとうございます。どんなに好きな俳優でも自分の思った通りに100%いくことはまずないですよ。言い回し一つでも、どうしても直らない瞬間もあるし、監督になりたての頃はよく絶望を感じてました。それよりも俳優が持ち寄ったものを観察して作品の雰囲気にアジャストしていった方が僕の場合は上がりがいいなと次第に気づいたんです。俳優もスタッフもみんなが楽しくやれて、なおかつ作品が跳ねるようなところまでもっていくのはなかなか難しい。
【ゆりやん】「OK」を出す立場の重さをすごく感じました。最終的にオッケーを出すのは監督じゃないですか。お芝居に関してとかなんですけど、お芝居とかカットにオッケーを出すのはだいぶプレッシャーだった。「これでいきましょう」って本当に言っていいのか。最高や、これでいこう、って言い切れるのかどうかの判断が難しい。
【白石】それは全ての監督が常に抱える葛藤ですね。顔には出しませんが「OK」を出した後に、さっきの「OK」で良かったんだろうか、なんてウジウジ考えてるのはしょっちゅうです。今の時代、監督は撮影時間をマネージメントするのも重要な仕事。撮影が伸びれば、その分、時間もお金もかかる。ここでやらなかったら次はない、という判断をしなきゃいけない場面なんて毎日。ビッグバジェットになったら、余裕を持って撮影している様に思われがちだけど、感覚としては予算が大きければ大きいほど時間に追われています。
【ゆりやん】時間が無限にあったら、あと10テイク、5テイクって重ねられるかもしれない。でも現実は違う。白石さんの現場って、「あと3テイクある」じゃなくて、「この1テイクに全部賭ける」っていう気合を後ろから見ててすごい感じたんです。3テイク目でいいものを出すんじゃなくて、あとこの1テイクでみんないいもの作ろうみたいな。
【白石】そう、俳優の動作や仕草を細かく演出することも重要だけど、ここぞの集中力や破壊力を出せる環境を作ってあげられるかが最も重要な演出だと思っています。カット!って言った後、俳優が本番中の記憶というか意識がなくなるのが理想かもしれない。俳優がそのゾーンに入った瞬間ってモニター見てるこちらにも伝わってくるんですよね。一つのカットの中でチェックしなきゃいけないことって10個以上あったりするんだけど、ゾーンに入った芝居を見ている時は一つもチェック出来なかったりする。だいたいそんな時は凄いカットになってることが多い。
【ゆりやん】でも、OKを出さないといけない瞬間って、本当にプレッシャーでした。これでオッケーって出していいのかなって、頭の中で迷っているときも、現場にいると周りからの「いつまでやってるの?」っていうプレッシャーもあるし。
【白石】周りはもう一回って言ったら「修正点はなんですか?」って当たり前に聞いてくるんですけど、「もう一回やればもっといけるんじゃないか」っていう演出家としての匂いって確かにあるんですよね。でもそこだけにこだわると、他の重要なカットが犠牲になるし、結果としてスタッフや俳優を疲弊させてしまう。だからトータルで時間やみんなの集中力をどうコントロールするかも、これからの監督には絶対に必要な要素だと思う。
【ゆりやん】撮った通りにはならない、っていうのもすごく実感しました。その場ではOKでも、なんか違ったり、納得いかなかったものが逆にすごく良かったり、編集してみたら全然違うものになる。だから編集作業がすごく楽しかったです。
【白石】映画監督だって、無限に完璧なアイデアやビジョンがあるわけじゃない。足りないところ、至らないところは、常にスタッフや俳優が補ってくれるんです。映画のスタッフは一人一人がクリエイターなので、それぞれの意見やアイデア、経験の力をもらいながら、それを取り入れてみて、うまくいかなければ、またもう一回意見を持ってきて。そういうトライアンドエラーを繰り返す。そういう一面を楽しんでいくっていうのも、映画監督としての映画作りの醍醐味でありコツなんだってことに気づいた。
■100%ゆりやん汁でできている作品のすごさ
【ゆりやん】完成した映画を最初に観たとき、どうでした?
【白石】最初に思ったのは「100%ゆりやん汁でできてるな」ってことでした。『禍々女』の凄いところは、観ている側の予想を見事に裏切っていくこと。誰も共感できないはずの物語が、いつの間にか胸打たれ、思ってもいなかった場所に着地するところです。
【ゆりやん】(笑)
【白石】初監督作品って、自分のやりたいことがあっても、作品に焼き付けられるのは良くて30%くらいなんですよ。でもこの映画は、実体験から出発した熱量が、ほぼそのまま全部詰め込まれてる。
【ゆりやん】詰め込みすぎってことはないですか?
【白石】むしろ、そこが一番すごい。ホラー、コメディ、ミュージカル、いろんなジャンルを行き来してるけど、お笑い芸人に逃げてないから。
【ゆりやん】そうですね。笑わせにいったろうっていう気持ちは、正直あんまりなかったです。
【白石】そこがいいよね。登場人物がツッコむんじゃなくて、観客が思わずツッコんでしまう構造になってる。日本的なお笑いじゃなくて、映画の根底にゆりやんが培ってきたコメディのセンスがある。もう一度聞くけど、実話がベースなんだもんね。そこがすごいよね。
【ゆりやん】はい、ほんまに自分の恋愛を振り返ったエピソードが全部詰め込まれています。当時はなにをやっても恋愛がうまくいかなさすぎて、撮影しながら思い出して自分でも、忘れてた感情がいっぱい出てきて、腹が立ってた時期もありました(笑)。でも最近は幸せすぎて、「そんなことで怒ってましたっけ?」ってなってます。
【白石】いやいや、怒りは全ての表現の源なので失っちゃダメですよ(笑)。その上で自分の痛みも怖さも面白さも、全部映画に投げ込む覚悟がないとできない。この映画は単なる奇抜なホラーじゃない。ゆりやんレトリィバァという人間そのものが、一本の映画になっている。それが映画的なんですよ。異常で、危険で、でも笑えてしまう。そのバランス感覚が、この作品の一番の魅力。OKを出すのって、自分を信じることでもありますよね。
【ゆりやん】映画って、怖いですね。
【白石】だから面白い。正直、嫉妬しました。
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