【インタビュー】GACKT「人は堕ちるとわかっていても堕ちていく」 9年ぶり新曲「FALL…

2026/05/20 17:05 

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『連続ドラマW コンサルタント ―死を執筆する男―』より

 韓国発のダーク・サスペンス小説を原作にしたWOWOW『連続ドラマW コンサルタント ―死を執筆する男―』が6月7日午後10時より放送・配信される。ミステリー作家志望の青年が“完璧な暗殺シナリオ”を書くコンサルタントとして裏社会に巻き込まれていく物語で、伊藤健太郎が主演を務める。本作で主人公の人生を大きく狂わせる謎の男・黒川秋峰を演じるのがGACKTだ。さらに主題歌として、GACKT名義では約9年ぶりとなる新曲「FALL AGAIN」も書き下ろした。ドラマ出演、そして新曲に込めた思いについて話を聞いた。

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■自分にないものを無理に演じようとすると、どうしても薄っぺらくなる

――今回出演するドラマの脚本を最初に読んだときの印象を教えてください。

最初は自分の役を意識せずに脚本を読んでいたんだ。それで途中から、ボクは主役じゃないから、自分の役はどれなんだろう?って思い始めて、もしかしてこの一番長いセリフってことはないよな‥って。役を見たら本当にそうで、「嘘だろ…こんな長いのかよ!」って思った(笑)。でも内容はすごくおもしろかったし、これはちゃんと準備しないといけないなと思って、かなり早い段階からセリフを覚える作業を始めた。

――セリフはどのように覚えていったんですか?

まず台本を読んで、そのセリフが自分の言葉として言えるかどうかを確認する。言い回しがしっくりこない場合は、自分の言葉に近い形に直すこともある。ただ脚本家によってはセリフを変えられるのを嫌がる人もいるから、どこまで変えていいのか制作側と確認しながら進めていった。今回はボクなりに修正したセリフを実際にカメラで撮って、その映像を見てもらって判断してもらうという形にした。

――GACKTさん流のセリフの覚え方ってありますか?

ボクは詰め込んで覚えるタイプじゃない。台本をまず読んで、閉じて、別のことをして思い出して、また読む。その繰り返し。そうしているうちに、文字が絵として頭の中に入ってくる。ページそのもののイメージとして記憶される感じ。その絵が頭に入ると、今度はそれを読む作業になる。そうすると自然とセリフが出てくるようになる。歌詞を覚えるときも同じような感じ。

――俳優としての役作りのこだわりを教えてください。

昔は演じるということをすごく意識していたんだけど、ここ10年くらいは“演じない”ようにしている。自分にないものを無理に演じようとすると、どうしても薄っぺらくなる。だからまず、自分の中にあるものと役の共通点を探す。そこから組み立てていく。役に自分を近づけるというより、自分のどの部分を出すかを考える感じ。

■いろんな経験をして、いろんなことを突き詰めていくと、最後に残るのって空虚なんだよ

――今回演じた黒川秋峰との共通点は?

善悪の価値観が一般的なものとは少し違うところかな。社会や宗教、生活環境によって正義や悪って変わるもの。あと、人に対してあまり感情移入しないところも似ている。死生観についても、似ているところがあるかもしれない。若い頃は身近な人が亡くなるとすごく落ち込んだりしていた。でも、あまりにもまわりの人が亡くなっていくと、途中から事実として受け止めるようになる。悲しくないわけじゃない。でもまず、「そうか、先に逝ったか」という感覚になる。そうやって受け止めないと心が壊れてしまう部分も多々あったから。

――他界されたLUNA SEAの真矢さんへの思いもXで投稿されていましたね。

シンちゃんに関しても、正直に言うと「そうか、先に逝ったか…」という感覚を覚えた。近い人だけでももうすでに200人くらい亡くなっているし、そういう経験を重ねると、最終的に残るのは空っぽさみたいな感覚。

――主題歌「FALL AGAIN」の歌詞の世界観も今のお話に通じるところがありそうです。

うん、ある。いろんな経験をして、いろんなことを突き詰めていくと、最後に残るのって空虚なんだよ。人は善悪とか感情とかいろんなものに縛られて生きているけど、結局それも全部ひっくるめて、そういうものだっていうところにたどり着く。主題歌の「FALL AGAIN」も、ボクの中では同じ感覚から生まれている曲。

■“グリット”は最近はボクも取り入れている歌い方なんだ

――本曲はGACKT名義での久しぶりの新曲になりますね。

これまで曲を出すつもりがなかったわけじゃない。でも、前の延長線のようなものを出しても意味がないと思ってた。その間に病気も経験して、音楽への向き合い方も変わった。次に曲を出すなら、過去の自分の良さと新しく得たものをうまくミックスしないといけない。長く待ってくれている人に届けるものとして、それが必要だなって。

――曲展開も激しいですね。

自分が堕ちていくことを理解しているのに止められない。理性では止めたほうがいいとわかっているのに、衝動や感情のバランスが崩れてそっちに行ってしまう。その精神の不安定さを音で表現したかった。だから曲の展開もかなり激しいものになった。

――英語詞が多いのも印象的です。

日本語で歌詞を書くとどうしても説明的になる。言葉の意味がはっきり伝わりすぎてしまう。でもこの曲で表現したかったのは、理屈じゃなくて感覚。自分が堕ちていくことをわかっているのに止められない、その不安定さみたいなもの。英語だと歌詞を“音”として伝えられる。意味を理解するというより、音楽として感じてもらえる。だから日本語は情景を描くところだけにして、全体は音として受け取ってもらえるような形にしている。

――歪んだ声の使い方もかなり耳に残りました。

グリットっていう歌唱法で、ギターでいうディストーションの一種みたいなもの。声を歪ませている。ただ、声を張り上げて潰しているわけじゃない。無理に声を出しているわけじゃなくて、声帯の使い方をコントロールして歪みを作る。だから叫んでいるように聞こえるかもしれないけど、実際にはそこまで強く出しているわけじゃない。ここ最近はボクも取り入れている歌い方なんだけど、最近だと優里なんかはすごく上手い。歪ませるニュアンスの出し方がうまい。声を張り上げなくても表現として成立する方法はいろいろある。ボクはそういう表現のひとつとして、この曲では歪んだ声を使っている。

――「FALL AGAIN」をどういう人に聴いてほしいですか?

特定の誰かに向けて作っているわけではない。でも、人って生きているとストレスは溜まる。理性ではわかっているのに、感情が追いつかないこともある。そういうときって、自分の中でいろんなものが歪んで怒りだったり、不安だったり、衝動だったりが湧いてくる。「FALL AGAIN」は、そういう自分の中の歪みみたいなものを音にした曲だから、例えばカラオケで、思いきり叫びながら歌ってもらえれば。人の前で泣いたり叫んだりすることって、ストレス発散になるから。

【プロフィール】
1999年にソロ活動を開始。Kとのピアノ&ストリングス形式の「LAST SONGS」、激しいロックバンド形式のYELLOW FRIED CHICKENz、フルオーケストラとの共演「魔王シンフォニー」など、ひとつの枠には括れないさまざまなスタイルのコンサートで魅了している。YELLOW FRIED CHICKENzではアジア・南米公演も実施。音楽以外にも、俳優としてハリウッド映画、日本映画、TVドラマで活躍。声優としても映画、アニメ、ゲームにも多数出演している。インフルエンサーとしても大きな影響力を持つ。
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