5月オリコン月間BOOKランキング1位は朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』 本屋大賞受賞…

2026/07/30 19:58 

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5月度オリコンBOOKランキング オリコンBiZトークより

 オリコンのデータやランキングから社会トレンドを客観的な立場で分析・考察する新動画連載企画「オリコンBizトーク」。第1回のテーマは、今や世代を超えて広く社会に定着したバズワード「推し活」だ。 オリコン月間BOOKランキングで4月と5月の2ヵ月連続で1位を獲得した話題作から、実は1000年以上前から存在したという驚きの歴史まで、本から見えてくる「推し活」の奥深い世界を紐解いていく。

【動画】朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』 から紐解く「推し活」の歴史

 5月度の「オリコン月間BOOKランキング」で見事1位に輝いたのは、朝井リョウによる小説『イン・ザ・メガチャーチ』(日本経済新聞出版)。4月度に続き、2ヶ月連続で1位を獲得する快挙となった。

 本作は2026年「本屋大賞」を受賞したことでも大きな話題を呼んでいる。著者の朝井リョウといえば、『何者』での直木賞受賞をはじめ、近年でも『正欲』や『生殖記』など社会の空気を鋭く切り取った作品で常に注目を集める存在だが、本屋大賞は今回が初の受賞となった。

 『イン・ザ・メガチャーチ』のあらすじは、あるアイドルグループの運営に参画することになった男、繊細な気質ゆえに積み重なる心労を癒やしたい大学生、そして仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女という、立場も世代も異なる3人の視点から物語が進行する。ファンダム経済を「仕掛ける側」「のめり込む側」「かつてのめり込んでいた側」という多角的な切り口から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出した野心作だ。

 朝井自身が本屋大賞の受賞スピーチで、本作の共通テーマを「生きる推進力」だと語ったように、単なる社会派小説にとどまらず、登場人物たちの生々しいエネルギーや、現代の“オタク”の解像度の高さが多くの読者の心を掴んで離さない理由となっている。

 現代のトレンドのように語られる「推し活」だが、その歴史は驚くほど古い。番組内では、時代ごとの推し活の変遷が語られた。

 例えば江戸時代。当時、水茶屋の看板娘が浮世絵に描かれて全国的な人気を集めることがあった。当時の浮世絵は値段も手頃で庶民が手に入れやすく、現代でいうところの「ブロマイド」や「アクリルスタンド」のような役割を果たしていたという。中には、顔写真が刷り込まれた「団扇絵(うちわえ)」という、まさに現代の“ライブうちわ”のルーツと言えるグッズも存在していた。

 明治時代には、浅草にできた当時日本一高い建物(凌雲閣)にエレベーターが設置された際、上層階への集客を目的に芸者たちの写真を使った「人気投票」が開催された。これはまさに現代の「推しメン投票」そのものである。

 さらに、明治の文豪・夏目漱石の作品『三四郎』や『行人』には、当時人気だった「娘義太夫(若い女性が三味線に乗って語るもの)」の公演で、「どうする! どうする!」と掛け声をかけるファンたち、通称「堂摺連(どうするれん)」の描写が登場する。現代の「コール」文化は、すでに明治時代から存在していたのだ。

 その後、1970年代の「親衛隊」によるコールやライブ参加、1980年代のおニャン子クラブによる「身近な存在」へのシフト、そして90年代以降のインターネット・掲示板を通じたファン同士の交流を経て、現在の多種多様な推し活文化へと発展してきた。

 さらに遡れば、平安時代に書かれた菅原孝標女の『更級日記』も“推し活本”の一つと言えるかもしれない。田舎に住んでいた著者が、どうしても『源氏物語』を読みたいがために等身大の仏像を自ら彫り、祈り続けたというエピソードは、現代のファンが「ライブのチケット当選」を神仏に祈る姿と完全に重なるから面白い。

 近年、オリコンランキングの動向を見ても「推し活」は出版界における確固たる1つのジャンルとして確立している。

 『イン・ザ・メガチャーチ』のほかにも、2021年に芥川賞を受賞し、「オリコン年間BOOKランキング」でも5位にランクインした宇佐見りんの『推し、燃ゆ』や、2026年のオリコン上半期ランキングの形態別「新書」で1位を獲得した三宅香帆の『「好き」を言語化する技術』など、推し活をテーマにした本のヒットも増えている。

 番組の終盤で「私たちにとって推し活とは何か?」という問いに対し、MC陣からは「生きる推進力」「語りたくなるもの」という答えが挙がった。

 客観的に見れば時に辛そうに見えたり、盲目的になったりする瞬間もある推し活。しかし、そこには確かな充実感があり、日常を生き抜くための圧倒的な熱量が詰まっている。「推し」は今や、現代人の心を支えるエネルギー源といえるだろう。


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