Prime Video、各国発の物語を世界へ ドイツにスター集結、国境を越える熱狂

2026/09/23 08:30 

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「オブセスト・リトリート: クラス・オブ‘26」に各国から集結したキャスト陣

 ドイツ南部、バイエルン・アルプスに囲まれた高級リゾート、シュロス・エルマウに、世界各国のヤングアダルト(YA)作品を担う俳優や原作者、クリエイターが集まった。

【動画】YA作品ラインアップ映像

 Prime Videoが9月7日と8日の2日間にわたって開催した「オブセスト・リトリート: クラス・オブ‘26」。会場には、Prime Videoで注目を集めるYA作品のキャストをはじめ、世界中からプレスやインフルエンサー、コンテンツクリエイターなどが参加した。

 新作の上映やラインアップを発表するショーケースだけでなく、パジャマ鑑賞会やさまざまなフォトスポット、キャストとの交流、フィナーレを飾る舞踏会まで用意された“没入型”のイベントだ。上映やトーク、キャストとの交流を通して見えてきたのは、各国で生まれたYA作品を世界へ届け、次のヒットへ育てようとするPrime Videoの取り組みだった。

■秋の夜長を退屈させない注目作が続々

 会場内に設けられた「The Cinema」では、注目作をひと足早く紹介する上映会が行われた。

 初日の7日には、スペイン映画『エンフレンタードス:純白の令嬢』(配信中)を上映。スペインの有力実業家の娘マルフィルと、彼女を守るために雇われたボディガード、セバスチャンの危険な恋を描いた作品で、上映後には主演のエステル・エクスポシトとヒューゴ・ディエゴ・ガルシアが登壇した。

 夕食後には、アリ・ヘイゼルウッドのベストセラー小説を映画化した『ラブ・ハイポセシス』(9月23日配信開始)を上映。主演と製作総指揮を務めたリリ・ラインハートが、原作ファンへの責任や、相手役トム・ベイトマンのキャスティング、科学者を目指す女性を演じた思いを語った。

 原作を映画化するうえで重視したのは、一言一句を再現することではなく、読者が小説から受け取った“感情”だったという。リリは、登場人物たちの切ない思いや、恋が成就したときのカタルシス、思わず足をバタバタさせたくなるようなときめきをスクリーンへ移すことが重要だったと明かした。

 夜には、参加者が配布された特製パジャマに着替えて会場へ再集合。スティーヴン・キングの長編小説デビュー作を初めてドラマシリーズ化した『キャリー』(10月7日配信)の第1話が披露された。

 マイク・フラナガンが手がける全8話のシリーズは、SNS時代のいじめや同調圧力を取り入れ、物語を現代的に再構築。約1500人が参加したオーディションで選ばれたサマー・H・ハウエルが、学校でのいじめと謎の超能力に直面するキャリーを演じる。上映後には会場から拍手が起こった。

■スペイン発作品、視聴者の9割以上が国外

 翌8日午前に行われた約45分間のショーケースでは、スペイン、フランス、ドイツ、イタリア、インド、英国などから生まれた新作映画・シリーズが一挙紹介された。

 冒頭では、スペインの作家メルセデス・ロンの小説を映像化した「過ち」シリーズが、世界で累計1億人以上に視聴され、その90%以上をスペイン国外の視聴者が占めた実績が紹介された。

 スペイン語で作られた恋愛映画が、その言語圏を越えて世界的なヒットシリーズへ成長したことは、今回のラインアップを象徴している。各国の物語を一つの形式に均一化するのではなく、それぞれの言語や文化を残したまま世界へ配信する。その広がりを支えるのが、字幕や吹き替え、SNS、そして原作を支えてきたファンだ。

■原作ファンの期待にどう応えるか

 最初に紹介されたのは、英国ドラマ『Boys of Tommen(原題)』(配信時期未発表)。TikTokの読書コミュニティー「BookTok」で注目を集め、「ニューヨーク・タイムズ」のベストセラーランキングで1位を獲得した小説シリーズを実写化する。会場では初の公式画像と、アイルランドで撮影中の主要キャストによるビデオメッセージが披露された。シーズン1では、秘密を抱えたラグビー選手ジョニーと転校生シャノンの恋を描く『Binding 13』『Keeping 13』を映像化する。すでに多くの読者を持つ作品だけに、キャスティングや映像化には大きな注目が集まっている。

 今回紹介された作品の多くは、BookTokや小説投稿サイト「Wattpad」を通じて支持を広げた小説を原作としている。そのため、登壇者から繰り返し聞かれたのが、すでに存在するファンの期待にどう応えるかという言葉だった。

 フランス映画『ユー+ミー ~世界が敵でも~』(配信中)のルーカス・バルスキは、長年原作を愛してきた読者がいることに触れ、「自分が大好きな小説の映像化を見るのは、簡単なことではない」と指摘。「僕たちにできるのは、登場人物と物語に敬意を払い、きちんと表現できていることを願うことだけです」と語った。

 同じくフランス発のシリーズ『キャンパス・ドライバーズ』(11月配信予定)からは、原作者のC.S.クイルと、主人公ロイス役のカルメン・カソヴィッツが登壇。クイルは、カソヴィッツについて「何も話さなくても、ロイスが何を感じているのかが伝わってくる」と評価した。

 カソヴィッツも、読者がそれぞれ異なる人物像を思い描いていることへの緊張を明かし、「ロイスという人物に敬意を払い、自分にできる限りの表現をしなければと思った」と振り返った。

 原作を忠実になぞるだけでなく、読者が愛してきた人物の核を守りながら、俳優の身体や声を通して新たな魅力を加える。出演者と原作者はいずれも、原作ファンが抱く登場人物のイメージを尊重しながら、映像化に臨んだことを強調していた。

■恋愛だけにとどまらない各国のYA作品

 スペイン発の『パーフェクト・ライアーズ~華麗なる秘密~』(11月20日配信開始)は、アレックス・ミレスがWattpadで発表した人気小説を実写化した、復讐と秘密、裏切りが交錯する学園サスペンス。

 舞台は、権力者や富裕層の子どもたちが集う名門大学「タグス」。主人公のジュード・デリーは、兄の死の真相を突き止めるという目的を隠し、学内に君臨するキャッシュ家の3兄弟へ近づいていく。長男エイガンはカリスマ性と計算高さを備え、次男アドリックは謎めいた雰囲気をまとい、末弟アレイシャンドレは反抗的で予測不能。手がかりへ近づくほど、ジュード自身も予想していなかった秘密へ巻き込まれていく。復讐劇に恋愛とミステリーを重ねた物語となっている。

 イベントには、ジュード役のイレーネ・バルメス、エイガン役のグレブ・アブロシモフ、アドリック役のパウ・シモン、アレイシャンドレ役のパブロ・スカピリアティが登壇。撮影の最初の2週間をスペイン北部のカンタブリアで一緒に過ごし、食事やパーティーを重ねた時間が、登場人物の関係性を築くうえで役立ったと振り返った。

 恋愛はYA作品を動かす大きな要素だが、それだけではない。家族からの自立、階級や経済格差、将来への不安、女性のキャリア、友情、SNS時代の名声など、国や文化が違っても若者に共通する問題が描かれている。

■ヒット作の続編に高まる期待

 メルセデス・ロンのベストセラー小説「Dímelo」3部作を映画化したシリーズからは、第2作『テルミー・ソフトリー2(英題:Tell Me in Secret)』に出演するアリシア・ファルコ、フェルナンド・リンデス、ディエゴ・ビダレスと、原作者のロンが登壇。2027年初頭の配信に先駆け、本編映像も披露された。

 ロンは、3人がそれぞれ演じるカミ、ティアゴ、テイラーを深く理解していたと振り返り、「まさにこの3人だと思った。それぞれが役に自分自身の何かを加えてくれたとき、魔法が生まれる」とキャスティングへの満足感を語った。

 テイラー役のビダレスは、第1作の配信後に寄せられた反響について、「キャラクターがとても温かく受け入れられたことに驚いた。たくさんの愛をもらい、本当に感謝している」とコメント。激しい三角関係の中心に立つカミを演じたファルコは、「彼女に共感し、心の奥にある本当の思いを見つけることを意識した。弱さと強さは誰の中にもある」と役作りを振り返った。

 ミラノのインターナショナルスクールを舞台にした『ラブミー・ラブミー2』(2027年配信予定)からは、ルカ・メルッチ、ミア・ジェンキンス、ペペ・バロッソが登壇。登場人物たちは少しずつ成長し、それぞれの新たな一面が見えてくると語り、作品を見れば意味が分かるキーワードとして「オーバーヒート」「ポストイット(付箋)」「情熱」を挙げた。ミア、ペペ、ルカ、アンドレア・グオの姿を捉えた初画像も公開された。

 インド発の『コール・ミー・ベイ ~お金じゃ買えない私の幸せ~』(シーズン1配信中、シーズン2近日配信)からは、主演のアナーニャ・パンデイが登壇。シーズン1を、自分を縛っていたものから解放され、居心地の良い場所から踏み出す物語だったと振り返り、シーズン2では主人公ベイが注目や名声に伴う責任と向き合うと説明した。

 『エンフレンタードス:純白の令嬢』に続く第2作『Ebano(原題)/Drawn Apart(英題)』の映像も初公開。エステルとヒューゴは、前作よりダークでアクション色の強い作品になったと説明した。ヒューゴは「『96時間』や『ジョン・ウィック』に、ラブストーリーを加えたような作品」とアピールした。

 このほか、英国版「過ち」シリーズ3部作の完結編『私たちの過ち:ロンドン編』(2027年配信予定)からは、アシャ・バンクスとマット・ブルームの初画像も披露された。また、エル・ケネディのベストセラー小説シリーズを映像化する『オフキャンパス』からは、エラ・ブライトとベルモント・カメリのビデオメッセージが寄せられた。

■ファンとの関係は「一方通行ではない」

 2日間の締めくくりを飾ったのは、ドイツ発の世界的ヒットシリーズ『マクストン・ホール ~私たちをつなぐ世界~』だった。最終章となるシーズン3の第1話が上映された後、ルビー役のハリエット・ヘルビヒ=マッテンとジェームス役のダミアン・ハルドゥングがディナー会場のステージに登壇。3シーズンにわたって作品と向き合ってきた思いや、互いへの信頼、シリーズを支えたファンについて語った。

 ハリエットはシリーズとの別れを「本当に寂しい」と表現。ダミアンは最終撮影日に「その場に崩れ落ちた」と明かし、ハリエットと過ごした3シーズンを「人生で得た最も素晴らしい贈り物」と振り返った。

 さらにダミアンは、作品とファンの関係は「一方通行ではない」と語った。俳優が届けた物語をファンが受け取り、感想や創作、SNS上での交流を通して新たな熱量を返す。その「エネルギーの循環」こそ、世界各地のYA作品を国境の外へ押し広げる力になっている。

 フィリピンから参加した女性は、同国でYA作品が人気を集める理由について、「長い一日の仕事を終えた後、日常から離れ、物語の世界に浸ることができるから」と話した。フィリピンには、胸が高鳴るようなときめきを表す「kilig(キリグ)」という言葉があり、「みんな、その感覚が大好きなんです」と教えてくれた。

 スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ヒンディー語――。国や言語が違っても、登場人物に恋をし、その未来を案じ、次の物語を待つ気持ちは変わらない。バイエルン・アルプスで繰り広げられた2日間は、各国で生まれたYA作品が世界へ広がり、作品を通じてファン同士がつながっていることを実感させる場となった。今後、日本発の作品からも、こうした世界的なヒットが生まれることを期待したい。
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