中印首脳5年ぶり会談、緊張緩和狙う 習氏「意思疎通と協力を強化」

2024/10/23 23:41 

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 中国の習近平国家主席とインドのモディ首相は23日、主要新興国による「BRICS」首脳会議に合わせて露中部カザンで会談した。習氏は冒頭で「双方は意思疎通と協力を強化し、相違点を適切に管理しなければならない」と関係改善を呼びかけた。両者の会談は2019年以来、5年ぶり。国境係争地での衝突による緊張を緩和したいとの思惑で双方が一致した形だ。

 両国のメディアによると、習氏は「中印は発展途上国の団結の模範を示し、世界の多極化の推進に国際的な責任を負わなければならない」と指摘。モディ氏も中印関係の重要性を強調し「国境の平和と安定を維持することが我々の優先事項であるべきだ」と応じた。

 近年、中印両軍はヒマラヤ山脈付近の国境係争地で小競り合いを繰り返し、20年6月には互いに死者が出るほど激しい衝突が起きてトップ外交が停滞していた。

 ただ、互いに隣国との決定的な対立は望んでおらず、今回の会談に先立ちインド外務省は21日、中国との間で係争地でのパトロールに関する取り決めに合意したと発表するなど、双方が首脳会談のための環境整備を図っていた。

 一方で、今回の会談が本格的な関係改善につながるかは不透明だ。国境紛争を巡っては過去にも緊張緩和で合意しながら摩擦が再燃してきた経緯がある。

 南アジアを舞台とする両国の綱引きも激化しており、習指導部はインドと対立するパキスタンの後ろ盾となり、スリランカやモルディブなどとも連携を進める。こうした動きを警戒するインドは、米印豪日(クアッド)のメンバーに名を連ねて米国主導の対中包囲網に加わる動きを見せて中国をけん制している。【北京・河津啓介】

毎日新聞

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