「午後のアルコール禁止令」解除か? タイ国会で審議本格化へ

2024/12/29 08:00 

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 タイ国会は来年1月、「午後のアルコール禁止令」として知られる午後2~5時のアルコール販売禁止など酒類関連法の改正に向けて本格的な審議を始める。50年以上続いてきた販売規制には、外国人観光客誘致の足かせになっているとの指摘もあり、議論の行方が注目される。

 タイで酒類を販売できるのは午前11時~午後2時と午後5時~午前0時に制限されている。

 これ以外の時間はコンビニやスーパーでビールなどを買うことができない。一部のホテルなどを除いてはレストランでの提供もNGだ。

 1972年に導入された規制はもともと、公務員に仕事に専念させるためだったと言われる。

 だが「事前に買ったお酒を飲むことはできるので意味がない」との指摘があり、飲食業界からも「暑い昼下がりにビールを飲みたい客を逃している」などと不満の声が上がっていた。

 タイではまた、仏教の祝日や選挙の投票日に酒類を販売できない。普段からアルコール飲料をテレビなどで宣伝するのも禁止され、ネット交流サービス(SNS)に写真を投稿することも罰金の対象となる。

 23年にはクラフトビールの写真とレビューをフェイスブックに載せた男性が、15万バーツ(約67万円)の罰金などを言い渡された。

 酒類製造にも法律で高いハードルが設けられるなど、タイはアルコール関連の規制が諸外国と比べても特に厳しいことで知られる。

 最大与党は酒類関連法の改正に前向きな姿勢を示しており、来年中に「午後のアルコール禁止令」などが撤廃される可能性がある。

 アルコール提供者の代表として国会特別委員会の委員を務めるプラッパウィー・ヘイマータットさん(41)は「タイの酒類関連法は、この国の気候にも、時代にも合っていない」と話している。【バンコク石山絵歩】

毎日新聞

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