ガザで間もなく停戦発効、合意順守が焦点 人質3人を解放予定

2025/01/19 07:43 

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 パレスチナ自治区ガザ地区で19日午前8時半(日本時間午後3時半)、イスラム組織ハマスとイスラエル軍の一時停戦が発効する。ハマスは19日中に人質3人を解放する見通し。双方が停戦合意を順守し、恒久的な停戦につながるかが焦点だ。

 イスラエルのネタニヤフ首相は18日夜、今回の停戦合意後初めて演説し、「人質全員が解放されることを祈り続けてきた」と歓迎する一方、「戦争の目的」を達成できなければ「強大な力によって達成する」と強調。必要に応じて米国の支援で戦闘を再開する権利を維持していると述べた。また、ハマスによる武器の密輸などを防ぐため、ガザ地区とエジプトの境界沿いやイスラエルとの緩衝地帯で部隊を増強する方針も明らかにした。

 ガザ地区では停戦を目前に控えた18日もイスラエル軍の攻撃が続いた。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、イスラエル軍が「人道地区」に指定した南部マワシ地区では砲撃により少なくとも5人が死亡。中部ヌセイラットでは無人機攻撃で数人が負傷した。双方が停戦に合意して以降の死者は少なくとも122人に上ったという。ハマスは18日、イスラエル軍が攻撃を激化させたことで人質が死亡する恐れがあると警告した。

 一方、ハマスに連帯するイエメンの親イラン武装組織フーシ派は18日、イスラエル領内に弾道ミサイルを発射したと発表した。イスラエル軍は迎撃に成功したとしている。またテルアビブの路上では18日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の男性(19)が通行人を相次いでナイフで刺し、数人が負傷した。男性は治安部隊に射殺された。

 ガザ地区の停戦は3段階に分かれており、第1段階の停戦期間は42日間。19日以降は7日ごとに人質の解放を進め、第1段階が終わるまでに人質約100人のうち33人を引き渡す。一方、イスラエルも人質と交換する形で、拘束中のパレスチナ人を釈放する。仲介国エジプトによると、釈放されるパレスチナ人は約1900人に上るという。イスラエル軍は18日、「人質の帰還に向け合意を履行する準備を進めている」と述べた。

 恒久的停戦を含む第2段階の詳細を詰める交渉は、停戦発効から16日目までに始まる見込み。ネタニヤフ政権が戦闘再開の含みを持たせる中、激しい駆け引きが予想される。

 ガザの保健当局によると、ガザ地区のこれまでの戦闘による死者は4万6899人に上り、11万人以上が負傷した。人口約230万人のうち約9割が避難生活を送っており、人道状況は危機的だ。停戦期間中は1日あたりトラック600台分の人道支援が搬入される見通しで、人道危機の改善にも期待が高まっている。

 ただ、前回の休戦期間中は、ハマスがガザ北部への支援物資の搬入が合意を下回ったなどと批判し、人質解放が予定時間より遅れたケースもあった。パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は17日の記者会見で「迅速な支援を妨害されずに届ける必要がある。停戦は始まりに過ぎない」と語った。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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