「左翼判事のカルテル暴け」尹氏の支持者、裁判所に侵入 破壊行為も

2025/01/19 10:52 

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 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の拘束継続を認めたソウル西部地方裁判所に対し、尹氏の支持者らが猛反発している。一部が裁判所に乱入するなど、暴走に歯止めがかからない状況だ。

 「左翼判事のカルテル(談合)を暴き出せ」。19日朝、裁判所前の壁には、こんな張り紙が張られていた。保守系の尹氏の支持者には、進歩系勢力を「左翼」などと批判する人が多い。ソウル西部地裁の判事を「左翼」だと一方的に非難したものだ。

 さらに裁判所の入り口付近には「謹んでソウル地方裁判所の冥福をお祈りします」などと記した白菊の花輪が並べられていた。韓国では葬儀に使われる弔花で、尹氏の支持者が「裁判所は死んだ」とアピールするために設置した。

 尹氏の支持者らは19日未明、尹氏の拘束継続を認める令状を発付した裁判所の判断に激高し、裁判所の建物に侵入した上、破壊行為を行った。市民からは「韓国国民として腹立たしく、恥ずかしい」といった声が聞かれた。

 裁判所の近くに住む高校2年の男子生徒(16)は「大人たちは間違ったことをしている。決して暴力に訴えるべきではない。韓国国民の一人として、本当に恥ずかしい」と憤った。

 男性タクシー運転手の趙さん(47)は「尹大統領は支持者たちに向けてフェイスブックで感謝のメッセージを伝えていた。支持者を結集しようとしていたとしか思えない。大統領にも責任の一端はある」と憤った。また「裁判所を襲うなんて、世界からどのように見られるだろうか。本当に恥ずかしく、腹立たしい」と肩を落とした。

 警察は事件直後、特別捜査チームを発足させた。警官らは19日早朝から、粉々に破壊された窓ガラスの窓枠や、裁判所の入り口付近などを調べて回った。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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