反トランプ派数千人がワシントンでデモ 「熱気に欠ける」指摘も
トランプ次期米大統領が20日に就任するのを前に反トランプ派の市民らが18日、首都ワシントンにあるリンカーン記念堂前で集会を開いた。数千人が民主主義や人権の擁護を訴えたが、2017年の第1次トランプ政権の発足時に比べると「熱気が欠ける」との声も聞かれた。
集会は、女性や性的少数者(LGBTQなど)、人工妊娠中絶を選ぶ権利などを擁護する複数のリベラル系団体が共同で企画した。
登壇者らは、民主主義や人権、気候変動、人種的少数派(マイノリティー)など多様な課題で、トランプ氏が保守派の強硬論に沿った政策を進めかねないとの懸念を表した。イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻や米国の対イスラエル軍事支援に抗議する声も目立った。会場付近では保守派とリベラル派が言い争う場面もあったが、大きな混乱はなかった。
初めて政治的な集会に参加したという会計士のリンダ・スミスさん(65)は「権威主義的なトランプ氏の政治で民主主義が弱体化し、国民の人権が侵害されるのを恐れている。しっかり声を上げるのが大事だと思って参加した」と話した。「これは米国だけの問題ではない。トランプ氏の勝手を許せば、日本を含む他の民主主義国の政治家がマネしかねない」と指摘した。
参加者からは「連邦議会や国家公務員には民主制度を守ってほしい」「ナチス・ドイツが台頭した時と似た雰囲気なのではないか」「(政府外助言機関を率いる)イーロン・マスク氏が自分たちに都合よく権力を使うのが怖い」といった声が聞かれた。
一方、17年のトランプ政権発足時の反対派デモにも参加した東部メリーランド州の病院勤務、ミシェル・ピーターソンさん(43)は「正直言って、参加者の少なさにがっかりした。これではトランプ氏の歯止めにはならない。民主党はまだ大統領選での敗北に打ちのめされており、活気がない」と嘆いた。【ワシントン秋山信一】
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