日中外相会談 「戦略的互恵関係」推進で一致 水産物輸入再開求める
岩屋毅外相は22日、来日した中国の王毅外相(共産党政治局員)と東京都内のホテルで約55分間会談し、共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を推進していくことで一致した。2019年4月以来、約6年ぶりとなる閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」も開催。日中双方は東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を受け、中国政府が全面停止している日本産水産物の輸入再開に向けたプロセスの進展を確認した。
日中双方は、持続可能な発展を目指す「グリーン経済」や少子高齢化への対応など幅広い分野で互恵的な実務協力を推進することも確認。外交・防衛当局間の「日中安保対話」の早期開催でも一致した。
外相会談の冒頭、岩屋氏は「国際情勢は目まぐるしく変動している。だからこそ、日中両国が緊密に意思疎通を重ね、ともに役割を果たしていく必要がある」と呼びかけた。
王氏は「中日関係の改善と発展を前向きに推進することが重要だ」と表明。旧日本軍による中国侵略を念頭に、「中日双方は歴史を直視し、未来に向けた共通認識を固めるべきだ」と語った。
終了後、岩屋氏は記者団に対し、日本側から中国当局による邦人拘束や中国軍の活動活発化、中国が海洋進出を強める沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東シナ海や南シナ海情勢などへの「懸念」を伝達したと明らかにした。日本側は水産物の輸入規制の早期撤廃に加え、事実上、中国が禁輸している牛肉や一部農産物の輸入再開も求めた。
中国側は、自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏が台湾行政院(内閣)の政務顧問に就任したことに言及。日本側は「政府として関与したものではない」と説明した。
石破茂首相の訪中も含めた首脳往来について、岩屋氏は「現段階で決まったものはないが、よく両国間で調整したい」と記者団に述べるにとどめた。【加藤明子、古川宗】
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