シリア暫定政権、新内閣を任命 少数派キリスト教徒の女性も入閣

2025/03/30 07:44 

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 シリアのシャラア暫定大統領は29日、暫定政権の新内閣を任命した。選挙実施による正式な政権の発足は数年後と見込んでいる。昨年12月のアサド前政権の崩壊後、今月中旬に暫定憲法が制定されたのに続き、新たな国家基盤の形成に向けて前進した形だ。シャラア氏は演説で「新政府の発足は、新しい国家を作るという我々の共通の意思の表れだ」とアピールした。

 ただ、西部ラタキア県などでは今月、前政権を支持する武装集団との衝突やイスラム教少数派アラウィ派の虐殺が起きた。治安の確保が大きな課題となっている。

 ロイター通信などによると、新内閣ではシリアで少数派のキリスト教徒の女性が社会労働相に任命された。多数派であるイスラム教スンニ派が中心の暫定政権としては、「少数派の尊重」を求める欧米にアピールする狙いがあるとみられる。このほか、暫定政権の重要閣僚であるシェイバニ外相とアブカスラ国防相は留任した。

 内戦が続いてきたシリアでは昨年12月、シャラア氏が率いる反体制派「ハヤト・タハリール・シャム」(HTS)などの攻勢を受け、アサド独裁政権が崩壊した。暫定政権では、HTSがそれまで自らの支配地域で設置していた行政機構の幹部らが閣僚に就任。今月で任期満了とされ、いったん区切りをつけた形だ。【カイロ金子淳】

毎日新聞

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