トランプ米大統領は４月３０日の閣議で、「政府効率化省（ＤＯＧＥ）」を率いるイーロン・マスク氏に「素晴らしい仕事をして、我々の視野を広げてくれた」とねぎらいの言葉をかけた。マスク氏は５月からテスラの経営に注力して政府への関与を減らす意向を示しており、近くホワイトハウスを去るとみられる。

　ホワイトハウスでの閣議でトランプ氏はマスク氏に対し「我々は皆感謝している。とても多くの自己犠牲を払い、不当に扱われた」と慰労すると、マスク氏は「（反対派は）私の車を燃やすことが好きだ」と自虐的に応じた。さらに、トランプ氏が「君が望むのであれば、いつまでもここに居ていい」と呼びかけると他の閣僚たちも拍手で同調した。

　大統領選に巨額献金などで貢献したマスク氏はホワイトハウスに新設されたＤＯＧＥを率いて連邦政府の予算や人員の大幅な削減を主導。その強引な手法や言動への反発からテスラ車の不買運動や放火事件が相次いで発生し、業績も大幅に悪化した。

　また、トランプ氏の権力を盾に権勢を振るうマスク氏と閣僚らのあつれきも相次いで報じられていた。マスク氏は５月以降も政府の仕事に一定程度関与する意欲を示しているが、トランプ氏の最側近であるスーザン・ワイルズ大統領首席補佐官は米紙ニューヨーク・ポストの取材に対し「マスク氏とは今後は対面ではなく電話でやり取りすることになる」と述べた。【ワシントン金寿英】