ハーバード大留学生資格停止「右往左往しないで」 海外進学塾訴え

2025/05/26 13:00 

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 米トランプ政権によるハーバード大学の留学生受け入れ資格停止問題を巡り、日本人の留学生や受験生の間にも波紋が広がっている。だが自身もハーバード大院を修了し、学生の留学支援を行うオンライン海外進学塾「クリムゾン・エデュケーション・ジャパン」の松田悠介代表(41)は「右往左往しないで」と呼び掛ける。

 現状を読み解くに当たって松田さんが参考にする統計がある。2023年度に米国内の大学や大学院などの高等教育機関に在籍した留学生は約112万人で過去最多となったというのだ。米国際教育研究所が24年に発表した「オープン・ドアーズ」と題する報告書に掲載されている。米商務省は、経済効果は約7兆円に上ると試算している。

 こうした統計を踏まえ、松田さんは米国の大学について「留学生あってのビジネスモデル。今回の措置が他大学に波及すれば優秀な留学生は流出するし、学費収入も減少して財政的にも苦しくなる」と説明。「テクノロジーやイノベーションは留学生がけん引していると言っても過言ではなく、お金と人材の両面で研究活動が停滞しかねない」と指摘する。

 それだけに「強引な手法がまかり通るとはトランプ氏自身も考えておらず、『反ユダヤ主義』と考えるハーバード大について世論に訴えかける意味合いが強い」というのが松田さんの分析だ。

 東部マサチューセッツ州の連邦裁判所は23日、資格停止の一時的な差し止めを命じた。松田さんの元には米国への留学を不安に感じる塾生や保護者から相談が寄せられているが、具体的な影響は出ていないという。

 「一度ぐっと振り切ってから相手の出方を見て落としどころを探るのがトランプ氏のやり方。受験生や留学生は右往左往しないことが大切だ」と話している。【最上和喜、御園生枝里、渡辺諒】

毎日新聞

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