イスラエル軍、食料配布拠点での発砲を否定 ハマスは「虐殺」と非難

2025/06/02 07:32 

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 パレスチナ自治区ガザ地区の支援物資の配布拠点付近で住民ら230人以上が死傷した事案を巡り、イスラエル軍は1日、配布拠点内や拠点付近での発砲を否定する声明を出した。

 イスラエル軍は、配給開始前に拠点から約1キロ離れた場所で警告射撃を行ったことは認めたが、死傷者が出た事案とは無関係だと主張。「市民を標的に恐ろしい虐殺を行った」と非難するイスラム組織ハマスに対し、「ハマスは食料供給の努力を台無しにするため、あらゆる手段を講じている」と反論した。

 中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」は1日、南部ラファにある支援物資の配布拠点付近でイスラエル軍の攻撃があり、住民ら少なくとも32人が死亡し、200人以上が負傷したと報じた。軍は、銃を持った男らが集まった住民らに向けて発砲する様子が映ったドローン映像を公開。ハマスの広報当局は「虐殺」を隠蔽(いんぺい)するために偽の映像を使っていると非難した。

 支援物資の配布拠点は、米国とイスラエルが後押しする「ガザ人道財団」(GHF)が運営。5月27日にも、イスラエル軍はGHFの配布拠点に殺到した住民に発砲し、死傷者が出た。配布拠点は約200万人が住むガザでわずか4カ所しかなく、うち3カ所はラファに集中している。

 食料を求める住民を南部の狭い範囲に追いやるのを側面支援しているとも指摘され、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は1日、支援物資の配布が「住民の命を脅かすわなになってしまっている」と批判する声明を出した。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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