NATO、米のイラン攻撃は「国際法違反ではない」 質問に反論

2025/06/24 09:37 

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 北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は23日の記者会見で、米軍のイラン核施設攻撃が国際法違反ではないかとの質問に対して「国際法違反であるという意見には同意できない」と色をなして反論した。24日にオランダ西部ハーグで始まるNATO首脳会議に向けた会見だったが、直接議題には入らないはずのイラン情勢を巡る質問が相次ぎ、国際社会の関心の高さを示した。

 「最大の懸念は、イランが核兵器を保有し、使用できるようになることだ」

 ルッテ氏は会見でこう述べて、ウラン濃縮を巡り国際原子力機関(IAEA)の査察に十分協力しないイランをけん制した。

 ただ、NATOは米欧の加盟国の集団防衛を担う組織であり、ルッテ氏は域外となる中東情勢に積極的に関与する考えがないことも強調した。

 イラン情勢が加盟国間で議論される可能性は否定しなかったが、ロシアによるウクライナ全面侵攻を念頭に「今はNATO域内自体が脅威にさらされている。我々は(域内に)集中しないといけない」と力説。「事務総長として、加盟32カ国の(防衛費の)支出やウクライナへの支援で必要なものを確実に確保することが私の仕事であり、それが今回の首脳会議の焦点だ」と説明した。

 今回の首脳会議ではトランプ米大統領の要望に応える形で、防衛費とインフラ整備などの防衛関連費を合計して国内総生産(GDP)比5%まで高めることについて、加盟国間の合意を目指している。イラン情勢を巡りルッテ氏が米国の攻撃に理解を示した背景には、トランプ氏の反感を買わずに首脳会議での議論をスムーズに進めたい思惑もありそうだ。【ハーグ岡大介】

毎日新聞

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