NYプライドマーチ「誇り持ち抵抗」 米政権圧力でスポンサー離れも

2025/06/30 10:52 

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 LGBTQなど性的少数者の権利や尊厳を訴える恒例のパレード「プライドマーチ」が29日、米ニューヨーク市中心部マンハッタンで開かれた。DEI(多様性、公平性、包摂性)を敵視するトランプ政権2期目の発足後初めての開催で、リベラルな都市ニューヨークでも従来スポンサーだった大企業が撤退するなど、逆風も吹いている。

 主催団体によると、今年の企業協賛金は目標を75万ドル(約1億800万円)下回ったという。調査会社グラビティーリサーチがこれまで各地の「プライド」を支援してきた約50社の幹部を対象に行ったアンケート調査では、約4割が今年は関与を減らす予定と答えた。方針変更の理由として6割がトランプ政権の圧力を挙げた。米紙ニューヨーク・タイムズによれば、寄付を継続するが匿名を希望した企業もあった。

 トランプ大統領は、性別は生物学的な男女のみとし「変えることはできない」とする大統領令に署名し、出生時に決められた性と性自認が異なるトランスジェンダーの人々の人権は大きく後退した。主催団体は「私たちのコミュニティーが直面する攻撃に誇りを持って抵抗する」と強調。パレードに参加したトランスジェンダー女性は「恐怖が増したように感じる」と話した。沿道では「トランスの子どもたちを守れ」「私たちは分断されない」などと書かれたボードを手に声援を送る人たちもいた。

 ニューヨークでは1969年6月、同性愛者が集まるバー「ストーンウォール・イン」に対する警察の不当な取り締まりに対し、居合わせた同性愛者たちが抵抗して暴動が起きた。「ストーンウォールの反乱」と呼ばれるこの出来事が転換点となり、翌年から毎年6月に各地でプライドの催しが行われるようになった。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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