トランプ氏、FRB議長解任報道を否定 ドル安進行で火消し

2025/07/17 10:59 

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 トランプ米大統領は16日、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の解任について「どんな可能性も排除はしない。しかし、不正を働いて辞任する必要性でもない限り、その可能性は極めて低い」と述べた。自らの利下げ要請に従わないパウエル氏を「早期に解任する意向」と米メディアに報じられ、ドル安が進行するなど市場が動揺したため、火消しに走った形だ。

 トランプ氏はホワイトハウスで「パウエル氏解任を検討しているか」と記者団に問われ、「何も計画していない」と答えた。利下げに慎重なパウエル氏を改めて非難しつつも、「幸いなことに、あと8カ月で交代させられる。我々は利下げを見たい」と述べ、来年のパウエル氏の議長任期満了後に自らが望む人物を後継にする考えを示した。

 複数の米メディアは16日、トランプ氏が前日に開いた共和党議員との会合で、パウエル氏解任について質問したと報道。ホワイトハウス関係者の話として「近く解任に踏み切る可能性がある」と報じられた。中央銀行の政治的独立が侵されかねない異常事態を受け、ダウ工業株30種平均が一時急落。為替相場も一時、2円近く円高・ドル安が進むなど市場は混乱したが、解任を否定するトランプ氏の発言で落ち着きを取り戻した。

 一方、トランプ氏は16日、当初予算より上振れしている25億ドル(約3700億円)のFRB庁舎改修工事について「恥ずべきことだ」と批判。パウエル氏の解任理由になり得るとの見方を示した。

 FRBによると、庁舎は1930年代に建設されて以来、全面改修されたことがなく、アスベスト(石綿)対策などで工事費用がかさんでいる。改修計画は2017年にFRB理事会の承認を得て進められ、これまで問題になったことはなかったが、最近になってトランプ氏が批判している。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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