SNSでの強硬論や偽・誤情報、混乱に拍車 タイ・カンボジア国境紛争

2025/07/25 19:11 

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 穏やかな国民性から「ほほえみの国」とも言われるタイだが、カンボジアとの国境紛争を巡ってはSNS(交流サイト)上で敵意をあおるような強硬論や、偽・誤情報が飛び交い、混乱に拍車を掛けている。

 「#タイは平和を愛す、だが戦いを恐れない」。衝突初日から、こうしたタイ語のハッシュタグを付けた投稿がフェイスブックなどで大量に拡散されている。「カンボジアはいつもルールを破る。決して交渉するな」「市民や非武装地域を狙って攻撃している」といったコメントも相次ぐ。

 一方、カンボジア側でも、タイ側の攻撃で負傷したとされる民間人の写真とともに、「なぜタイは戦争を望むのか」「カンボジアに正義を」といった投稿が広がる。それぞれのユーザーが「#カンボジアが先に始めた」「#タイが戦争を始めた」とハッシュタグで互いを非難し合う状況にもなっており、ナショナリズム的な言説がSNSを通じて過熱している。

 さらに、兵士の死者数や寺院の制圧など、さまざまな真偽不明の情報が次々と投稿されており、タイ政府のアンチフェイクニュースセンターは「いずれも偽情報だ」として警戒を呼びかけている。

 タイとカンボジアの国境紛争は25日も両軍の交戦が続いた。双方で民間人計3人が巻き込まれて新たに死亡し、24日以降の死者は計15人になった。タイ側で国境地帯の住民13万人以上が避難するなど混乱が広がっている。【バンコク国本愛】

毎日新聞

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