JR九州、「空飛ぶクルマ」開発企業と資本提携 商用運航目指す

2025/07/26 11:45 

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 JR九州は、「空飛ぶクルマ」の開発を手がける「スカイドライブ」(愛知県豊田市)と資本業務提携を締結した。鉄道と次世代モビリティーの連携によって、事業領域の拡大を図る。両社は2028年度をめどに大分県で客を乗せる商用運航を目指し、離着陸場の候補地の調査を進めている。

 JR九州は24年7月に、九州での空飛ぶクルマの事業の可能性を検討するため、スカイドライブと連携協定を結んだ。沿線観光地への誘客を想定し、鉄道駅や商業施設などに離着陸場を設け、運航ルートの開設を目指している。

 25年2月、JR九州とスカイドライブは大分県と包括連携協定を締結。温泉など豊富な観光資源があり、ビジネスチャンスは大きいとみて、別府湾の遊覧や別府と湯布院を行き来するエアタクシーなどを想定している。今後は収益性や運営体制について詳細に検討する。

 7月に資本業務提携を結び、スカイドライブの第三者割当増資に応じる形でJR九州が出資した。出資額は非公表。他にもスズキやJR東日本など10社がスカイドライブに出資しており、同社は総額83億円を資金調達した。

 スカイドライブが開発を進める空飛ぶクルマは、操縦士1人と乗客2人が搭乗できる。電気で12基のモーターとローターを動かし、航続距離は15~40キロ。商用運航に必要な型式証明を国から取得するため、手続きを進めているという。また、7月31日から大阪・関西万博で、自動制御と遠隔操作による無人のデモフライトを予定している。

 JR九州の古宮洋二社長は「『空飛ぶクルマ』は九州の豊かな観光資源を空から楽しむ新しい体験価値を提供するだけでなく、日常の移動手段として新たな可能性を追求するもので、地域の発展に寄与できる」としている。【後藤浩明】

毎日新聞

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