TICAD閉幕 石破首相「日本とアフリカの協力、新たな次元に」

2025/08/22 16:46 

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 日本が主導して横浜市で開かれていた第9回アフリカ開発会議(TICAD)は22日、アフリカの持続的な経済成長に向けた連携策をまとめた「横浜宣言」を採択し、閉幕した。横浜宣言では、日本の技術などを提供し、アフリカが直面する課題の解決を目指す「共創」を掲げた。世界経済が不透明感を増す中、競争力強化を目指す「アフリカ大陸自由貿易圏」の促進も提唱した。

 石破茂首相は共同記者会見で、「アフリカが国際社会で果たす役割は一層重要となっている。国際社会が複合的な危機に直面する中、日本とアフリカの協力を新たな次元に引き上げたい」と訴えた。日本企業によるアフリカへの投資に加え、人工知能(AI)活用や鉱物資源供給網の強化による産業協力、保健政策や人材育成など今後7分野に重点的に取り組む考えも示した。

 石破首相とともに共同議長を務めたアンゴラのロウレンソ大統領は会見で「日本はさまざまな投資や融資を行っており、アフリカ大陸は日本に大変な恩恵を受けている」と述べ、日本の取り組みを評価した。

 TICADは、アフリカと日本で3年おきに開催する。今回の参加国は日本開催だった6年前より4カ国少ない49カ国で、首脳級を派遣した国も9カ国減の33カ国にとどまった。軍事クーデターでマリなど5カ国はアフリカ連合(AU)の資格が停止され、公式会合に招待しなかった。また、大阪・関西万博で既にアフリカ8カ国の首脳級が訪れており、万博と競合する形になったことも影響したという。石破首相は期間中、34の首脳や国際機関代表らとの「マラソン会談」も実施した。

 石破首相は20日の演説で、新経済圏構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」に加え、30万人の人材育成、アフリカ開発銀行と協調した最大55億ドル(約8100億円)の融資などを発表した。【田所柳子、神山恵】

毎日新聞

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