中露朝首脳、66年ぶり一堂に 世界に結束を見せつけ 軍事パレード

2025/09/03 21:13 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 中国は3日、首都・北京の中心部で「抗日戦争勝利80年」を記念し、軍事パレードを実施した。習近平中央軍事委員会主席(国家主席)が演説し、「世界一流の軍隊の建設を加速させ、国家主権を守り、領土を欠けることなく統一しなければならない」と述べ、米国に対抗し得る軍備の増強と台湾統一への意欲を改めて示した。

 ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記も出席し、習氏と並んでパレードを観覧した。韓国の聯合ニュースによると、旧ソ連時代を含め中露朝のトップが公式の場で一堂に会するのは1959年以来66年ぶり。

 「非常にうれしい。我々は長くお会いしていなかった」。パレードの直前、貴賓席のある天安門の城郭へ歩きながら、習氏は傍らの金氏にそう語りかけた。パレードの最中も、習氏が両脇の金氏、プーチン氏と盛んに言葉を交わし、世界が注視する中、中露朝の結束を見せつけているようだった。

 習氏は演説で「人類は今日、再び平和か戦争か、対話か対抗か、共に勝利するか、一方が全て失うかという選択に直面している」とも指摘。「米国第一主義」を掲げ、高圧的な関税政策で他国を圧迫するトランプ米政権も念頭に、中国と歩調を合わせる国々による新たな国際秩序の必要性を強調した。また、「共産党の呼びかけで結成された抗日民族統一戦線の旗印の下、侵略に対抗する戦いで近代以降初めて完全な勝利を収めた」と主張して党の歴史的な功績を誇示し、一党支配体制を正当化した。

 演説終了後、新型を含む国産の主力兵器や兵士らが天安門広場とその周辺にずらりと並ぶ中、習氏は車両で移動しながら閲兵した。軍の説明によると、パレードには1万人以上の兵士、100機以上の航空機、軍用車両など数百台の地上装備が参加。「DF(東風)5C」や「DF(東風)61」といった新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)をはじめ、100種類を超える国産兵器が公開された。

 中国政府の8月28日の発表によると、26カ国の外国元首・首脳が出席。イランのペゼシュキアン大統領など中露と戦略的な結びつきを深める国が目立った。国内の抗議デモで訪中取りやめを発表していたインドネシアのプラボウォ大統領も急きょ出席した。

 軍事パレードの機会を利用し、露朝の首脳会談が行われるなど活発な外交活動が展開された。タス通信によると、プーチン氏は金氏との会談後、車まで見送りながら金氏に早期の訪露を要請した。パレード参加国の顔ぶれはほぼ新興・途上国で、日米など主要7カ国(G7)の首脳・政府代表者の出席は見送られた。一方、日本からは鳩山由紀夫元首相が出席した。

 中国での軍事パレードは、2019年10月に建国70年を記念し北京で行って以来。習指導部発足後は、10年前の抗日戦争勝利70年を皮切りに、海上軍事パレードも含め今回が5回目となる。【北京・畠山哲郎、松倉佑輔】

毎日新聞

国際

国際一覧>

写真ニュース