米エプスタイン事件で司法省が資料公開 野党など「不十分」と批判

2025/09/03 21:55 

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 米下院監視・政府改革委員会は2日、トランプ大統領と親交のあった米富豪エプスタイン氏の事件について、司法省が提出した3万3295ページの資料を公開した。

 共和党の下院指導部は資料公開を通じて透明性の確保をアピールし、トランプ政権に対する批判の鎮静を狙うが、野党民主党のみならず一部の共和党議員にも「政権の対応は不十分」との不満がくすぶる。

 民主党のロバート・ガルシア下院議員は今回開示された資料について、「97%は既に公開されたものだ」と指摘。共和党のマッシー下院議員も「司法省は自分たちが望む範囲でしか開示しない」との見方を示し、民主党の下院議員とともに超党派で資料の全面公開に向けた圧力を強めている。

 共和党のジョンソン下院議長は記者団に対し、「これは終わりではなく始まりに過ぎない」と強調。今後も被害者の特定につながる個人情報や性的虐待の資料などが含まれていないことを確認した上で、順次公開されると説明した。下院委員会のコマー委員長(共和党)も「米国民が求める透明性の確保に向けてできることは全てやる」と強調した。

 エプスタイン氏は2019年に少女らへの性的虐待罪などで起訴されて、勾留中に死亡した。トランプ氏の熱心な支持層である「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」派の一部では、「少女買春などに関する著名人の『顧客リスト』があり、エプスタイン氏は有力者に口封じのため殺害された」という陰謀論が定着している。

 トランプ政権は当初、保有資料の情報公開に前向きな姿勢を示し、一部を公開したこともある。ところが7月に一転して非公開として「顧客リスト」の存在も否定したため、MAGA派の一部から批判が噴出した。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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