欧州が「安全の保証」具体策議論 ロシアの「時間稼ぎ」にいらだち

2025/09/04 17:18 

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 ロシアの侵攻を受けるウクライナを支援する仏英など約30カ国の有志国連合は4日、パリで首脳級会合を開いた。停戦後にロシアの再侵攻を阻止するための欧州による「安全の保証」の具体策を協議する。ウクライナ軍の強化や欧州からの平和維持部隊の派遣などが議題となる。ウクライナのゼレンスキー大統領も参加する。ロイター通信によると、ゼレンスキー氏やマクロン仏大統領らは会合後、トランプ米大統領と電話協議する見通しだという。

 仏大統領府によると、ウクライナ軍の強化策や、国境地帯などを除くウクライナ領内への平和維持部隊派遣の計画は大枠で既にまとまっており、首脳級会合で詳細を確認する。一国への攻撃を全体への攻撃と見なして集団で防衛することを定めた北大西洋条約第5条に類似した枠組みについても議論するとみられる。

 米国に具体的な支援策の提示を促す方針も確認する。トランプ氏は、ウクライナへの「安全の保証」は欧州を中心に担うべきだとの考えだが、米国の関与も明言している。

 欧米メディアによると、米国が防空や情報収集を支援する案が議論されている。ウクライナ周辺国への米軍の配置も選択肢だとみられ、トランプ氏は3日、約1万人規模の米軍が駐留するポーランドに関して「ポーランドが望めば、(米軍を)増派する」と述べた。

 有志国連合は、ウクライナとの首脳会談に後ろ向きなロシアへの対応も協議する。ロイターによると、プーチン露大統領は3日、ゼレンスキー氏がモスクワに出向くなら会う準備があると難しい条件をつけた上で、会談実現には十分な準備と明確な成果が必要だとの認識を示した。

 ロシアは米露首脳会談以降もウクライナへの攻撃を強めている。欧州各国はロシアが米国の追加制裁を回避するための「時間稼ぎをしている」といらだちを強めている。

 トランプ氏は3日、記者団に「プーチン氏は私の立場を理解しており、決断を下すだろう。彼の決断に不満なら何かが起こるだろう」と先送りしている追加制裁の発動を警告した。

 一方、記者から対露制裁先送りを念頭に「何の行動もしていない」と指摘されると、「(露産原油の輸入を続ける)インドに2次関税を課した。第2弾も第3弾もまだ実行していない」と反論。指摘した記者に「あなたは新しい仕事を見つけるべきだ。そんなことを私に言うな」と憤りをあらわにする場面もあった。【ブリュッセル宮川裕章、ワシントン松井聡】

毎日新聞

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