東京フィルが縁の深いベルリンで欧州ツアー開始 東西の融合もテーマ
ナチスを逃れて日本に亡命し、日本最古のオーケストラとなる東京フィルハーモニー交響楽団で日本オペラの礎を築いた音楽家がいた。その生誕の地ベルリンで開幕した欧州ツアーで、東京フィルが伝えようとするものとは――。
初日となる10月28日のベルリン公演では、世界的ジャズピアニストの小曽根真氏をソリストに迎え、ガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」を披露。プロコフィエフのバレエ音楽「ロミオとジュリエット」も演奏した。客席からは「ブラボー」の声とともにスタンディングオベーションが起き、会場は熱気に包まれた。
1911年に創設された東京フィルに息づくのは、ベルリン出身の音楽家マンフレート・グルリット(1890~1972年)の精神だ。日本に初めて本格的なオペラを伝え、日本で81年の生涯を閉じた。
34歳でドイツ最年少の音楽総監督に就き、当時のドイツ楽壇を代表する若手指揮者として、また作曲家としても活躍した。
しかし祖母がユダヤ人であるとしてナチスの迫害を受け、39年に日本へ亡命した。東京音楽学校(現・東京芸術大学)で作曲などを教える傍ら、東京フィルの前身となる中央交響楽団の首席指揮者を務め、後に数多くのオペラの日本初演を実現させた。
グルリットの厳しい指導の根底には「人間感情の源泉からほとばしり出る音楽の精神を、若い人たちにしっかりと伝えたい」という思いがあった。
コンサートマスターの近藤薫氏(45)は、グルリットが率いた東京フィル創設期のコンサートマスター、近藤富雄を祖父に持つ。
「祖父からは、技術ではなく心の有りようを伝えるために音楽があると教えられた。グルリットさんにも通じるものを感じる。その考え方は、技術の先にある精神性をどう伝えるかという東京フィルの姿勢として今も息づいている」と語る。
東京フィルにとって今回の欧州ツアーは、東洋人として西洋芸術をどう奏でるかという長年のテーマを体現する舞台となる。
指揮は、韓国出身で米国や欧州を拠点に活躍してきた名誉音楽監督のチョン・ミョンフン氏。25年にわたり東京フィルと歩んできたチョン氏とともにベルリンを訪れるのは初めてだ。
「東京フィルは114年間にわたり、西洋も東洋もなく、一人の地球人として融合を図ることを夢見て挑戦してきた。グルリットさんも同じ思いだったからこそ、西洋音楽の神髄を教えたのだと思う。今回のツアーではアジア人が持つ、すべてが溶け合う感覚――『円融』を感じ取ってほしい」と近藤氏は意気込む。
ハンガリー、フランス、オーストリアなど計7カ国を巡る公演は、11月11日まで続く。【ベルリン念佛明奈】
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