米連邦地裁、政権が「言論の自由侵害」 議員の行政処分差し止め
米首都ワシントンの連邦地裁は12日、トランプ政権の「違法な命令」に従わないよう軍人らに呼びかけた海軍出身のマーク・ケリー上院議員(民主党)に対し、国防総省が科した行政処分の一時差し止めを命じた。政権側は「軍の指揮系統を乱した」と処分の正当性を主張したが、地裁は言論の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に違反するとの判断を示した。
ケリー氏は昨年11月、国内外で「戦争犯罪」との指摘も出ていた南米ベネズエラ周辺での「麻薬運搬船」攻撃を巡り、他の民主党議員5人と共に「違法な命令は拒否できる」と訴える動画を公開した。これに対しトランプ大統領は自身のソーシャルメディアで「死刑に値する反逆行為だ」と非難。国防総省は今年1月、ケリー氏が「任務に混乱を生じさせ、軍に不名誉をもたらした」として、退役軍人としての階級の降格や年金の減額などの処分を公表した。
判事は決定で、ケリー氏の発言は「公共の関心事であり、修正1条による保護の中核にあたる」と指摘。政策に対する議員の見解表明は特に保護されるべきだと強調し、処分は憲法違反に当たると認定した。
ケリー氏は声明で「政権が米国人の権利を侵害できないことを示した」と地裁判断を評価する一方、トランプ氏らが「間違いを認めない」として、今後の政権側の出方に警戒感を示した。ヘグセス国防長官はX(ツイッター)で、上訴する意向を明らかにした。
トランプ政権はケリー氏らへの刑事訴追も模索している。米メディアによると、ワシントンの連邦大陪審は10日、ケリー氏らの起訴を求めた検察側の請求を退けた。大陪審が起訴を認めないのは異例だが、捜査が終結するかは不明だという。【ワシントン金寿英】
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