ウクライナへの攻勢強めるロシア 増える犠牲者、民間人被害も拡大

2026/02/22 18:29 

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 ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まってから24日で4年となるが、ロシア側が攻撃の手を緩める気配はみられない。犠牲者は増え続けており、エネルギー関連施設を狙った攻撃も激化している。ウクライナでは全土で100万世帯以上が停電や暖房の停止に追い込まれ、厳寒の中、深刻なエネルギー不足に直面している。

 AFP通信は今年1月、米国のシンクタンク「戦争研究所」(ISW)のデータを分析。その結果、ロシア軍が2025年にウクライナで広げた占領地域は、前線で膠着(こうちゃく)状態に入った23年以降、最大になったと伝えた。トランプ米政権が仲介する和平交渉が続く中、前線で優勢を維持し、交渉を有利に進めたい思惑もにじむ。

 報道によると、ロシア側は一連の攻勢で、ウクライナ領土の約1%にあたる約5600平方キロを獲得した。未占領地を巡って激戦が続く東部ドネツク州では膠着状態が続いているが、南部ザポリージャ州や北に隣接する東部ドニプロペトロウスク州では急速に占領地を拡大したとみられる。

 また、今年1月にロシアが制圧した面積は約480平方キロに上り、25年12月と比べ倍増した。22年2月にロシアが全面侵攻を始めてから、冬季として最大規模の前進となった。

 ロシアのプーチン大統領は25年12月、国防省の幹部らとの会合で「特別軍事作戦の目標は間違いなく達成されるだろう」と強調。外交を通じた「紛争の根本原因の除去」を優先すると話す一方で、「もし、敵対する側とその外国の支援者が実質的な対話を拒否するなら、ロシアは軍事的手段で自国の歴史的領土の解放を達成する」とウクライナや欧州をけん制し、強気の姿勢を示した。

 一方、両軍の死傷者数は拡大している。米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)によると、露軍の死傷者・行方不明者は25年だけで41万5000人に上る。侵攻開始以降の露軍の戦死者は合計で最大32万5000人、ウクライナ軍も最大14万人と推定され、CSISは「ロシアはわずかな戦果のために、異常な代償を払っている」と指摘している。

 露軍は25年、ミサイルやドローンによるウクライナの各都市への攻撃を大幅に拡大した。これに伴い民間人の死傷者も前年比で約3割増加した。

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によると、25年だけで少なくともウクライナの一般市民2514人が死亡し、1万2142人が負傷。22年2月からの合計は、死者1万5000人、負傷者4万人に達した。これまでに約690万人が難民として国外へ脱出し、国内避難民も約370万人に上る。

 戦争の長期化によるウクライナ国民の疲弊は鮮明になっている。米ギャラップ社が25年夏にウクライナで実施した世論調査では、早期の停戦交渉を望む人は22年の22%から69%に上昇し、勝利まで戦闘を継続することを支持する人は73%から24%に低下している。【飯田憲、キーウ宮川裕章】

毎日新聞

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