「大規模な軍事作戦」 米・イスラエルがイラン攻撃 25年6月以来

2026/02/28 18:12 

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 米軍とイスラエル軍は28日、イランへの軍事攻撃に踏み切った。核開発を巡る交渉でイラン側の対応が不十分だと判断したとみられる。イランは即日、イスラエルや湾岸諸国の米軍基地に報復攻撃を行い、中東諸国を巻き込む形で紛争が拡大している。

 米軍などがイランを攻撃したのは、昨年6月の「12日間戦争」以来。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国とイスラエルは数日間にわたる集中攻撃を計画している。

 トランプ米大統領は28日、ビデオ声明で、イランが核や長距離ミサイルの開発を通じて米国の脅威となっていると指摘し、「大規模な軍事作戦」を始めたと宣言。「切迫した脅威を取り除き、米国人を守る」と説明した。

 また、イランの革命防衛隊などに向けて「武器を捨てて免責を受けるか、死に直面するか」の選択を迫り、武装解除を呼びかけた。イラン国民に対しても、米軍の攻撃後に政府を掌握するよう訴え、体制転換を促した。

 イランメディアによると、米側の空爆で首都テヘランや中部イスファハン、北西部タブリーズなど多くの都市が攻撃された。また南部の小学校が破壊され、児童40人が死亡したという。

 米CNNテレビは28日、イスラエル軍がイランの最高指導者ハメネイ師やペゼシュキアン大統領などを標的にしたと報じた。ただ、死亡情報は伝えられていない。ロイター通信はハメネイ師について、テヘランにはおらず「安全な場所」に移動したと報じた。

 一方、イラン側による攻撃ではイスラエルのほか、米軍基地があるバーレーンやカタールなどが標的になった。アラブ首長国連邦の首都アブダビでは、アジア人1人が死亡した。イランの最高安全保障委員会は声明で、米国とイスラエルに「激しい報復を開始した」と述べた。

 ◇核協議と並行した軍事行動

 イランの核開発を巡り、米国とイランは26日、スイス・ジュネーブで3回目の協議を行ったばかりだった。両者は合意に至らなかったものの、交渉の継続で一致。仲介したオマーンのバドル外相は「重要な進展があった」と表明していた。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国は26日の交渉で、イラン中部フォルドゥなど三つの主要な核施設を破壊し、保有する高濃縮ウランを全て米国に引き渡すよう要求したという。2015年に締結された核合意と異なり、新たな合意には期限は設けず、恒久的にイランのウラン濃縮を制限することも求めた模様だ。

 一方、イラン側は米国がウラン濃縮の権利を認める代わりに、保有する高濃縮ウランの濃縮度を1・5%まで希釈するほか、ウラン濃縮を数年間にわたり停止することを提案したとされる。トランプ氏は27日、イランの提案に「満足していない」と表明していた。

 米政権はイランとの交渉を進める一方、軍事行動の準備も行ってきた。

 中東海域には原子力空母エーブラハム・リンカーンを中核とする空母打撃群を派遣し、多数の戦闘機や補給艦も展開。最新鋭原子力空母ジェラルド・フォードを中核とする空母打撃群も27日、イスラエル沖に到着していた。ロイター通信によると、今回の攻撃は数カ月前に立案され、数週間前に実施日が決定されていたという。

 イランは昨年6月にもイスラエル軍による先制攻撃で核施設などを爆撃され、12日間の交戦に発展した。

 終盤には米軍も空爆に加わり、イランは報復としてカタールの米軍基地にミサイル攻撃を行ったが、その後に停戦に合意した。

 国際原子力機関(IAEA)によると、イランは昨年6月時点で、濃縮度60%の高濃縮ウランを約440キロ保有していたとみられている。90%以上まで濃縮度を高めれば、核兵器10発分に相当する分量となるが、IAEAの査察はその後拒否されており、現状は不明だ。【ワシントン松井聡、カイロ金子淳】

毎日新聞

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