イランや湾岸諸国で石油施設への攻撃続く レバノンでは70万人避難
イランと米・イスラエルとの交戦で、双方が重要インフラへの攻撃を激化させている。イランや湾岸諸国では石油関連施設の火災が相次ぎ、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡も事実上の封鎖が続く。紛争は10日で発生から11日目に入ったが、世界経済への影響が懸念されている。
イランでは7日夜、首都テヘランの石油貯蔵施設30基がイスラエル軍に空爆されて炎上し、黒煙が上空を覆った。この影響で市内には「黒い雨」が降ったと報じられた。
米ニュースサイト「アクシオス」によると、この攻撃についてイスラエルは米軍に事前に通知していたが、予想を上回る規模の被害となったため、米側は原油価格の高騰につながるなどとして強い懸念を示したという。ニューヨーク原油先物市場の指標となる米国産標準油種(WTI)は米東部時間8日夜、一時1バレル=119ドル台まで上昇し、約3年9カ月ぶりの高値を付けた。
イラン側の報復も続いている。バーレーンでは9日、イランの攻撃で製油所が損傷して火災が発生。アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラでも9日、石油関連施設に迎撃された破片が落下し、火災が起きた。アラブの「盟主」を自任するサウジアラビア外務省は9日の声明でイランを名指しし、石油施設などへの攻撃は「国連憲章や国際法に違反する行為にほかならない」と非難。「イランが最大の敗者となる紛争」の拡大につながると警告した。
また、トルコでは9日、イランの弾道ミサイルが北大西洋条約機構(NATO)の防空システムで迎撃された。死傷者はなかった。トルコが攻撃を受けたのは今回が2回目。
一方、マクロン仏大統領は9日、訪問先のキプロスで、ホルムズ海峡で仏海軍がタンカーなどを護衛する方針を明らかにした。フランスはすでに原子力空母などを地中海に派遣している。
これに対し、イラン最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長はX(ツイッター)で「戦火の中でホルムズ海峡の安全は実現しにくい」と述べ、今後も海運への攻撃が続くことを示唆した。
戦闘はレバノンでも続いている。イスラエル軍は9日、レバノン南部でイランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラのロケット弾の発射施設を破壊したと発表。首都ベイルートでも空爆を行った。ロイター通信やアクシオスなどによると、ヒズボラとの交戦が始まった2日以降、レバノンでは子供80人超を含む486人が死亡し、約70万人が避難民となった。
レバノン当局は米国を通じてイスラエルとの停戦交渉を求めたが、両国から前向きな返答は得られなかったという。【カイロ金子淳】
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