ゼレンスキー氏、米の迎撃ミサイル供給停止に懸念 中東情勢受け
ウクライナが、長引く米イスラエルの対イラン軍事作戦に危機感を募らせている。米国製の迎撃ミサイル「パトリオット」が不足し、米国がウクライナへの供給を減らすとの懸念が現実味を帯びつつあるためだ。ゼレンスキー大統領は「米国は中東に集中している」と指摘する。
「困難が訪れると確信している」。ゼレンスキー氏は3月30日に公開された米ニュースサイト「アクシオス」のインタビューで焦りをあらわにした。ウクライナへの兵器供給に影響が出る可能性について「単なる懸念ではない」と強調した。
ウクライナにとって、パトリオットはロシアの弾道ミサイルを迎撃するために必要不可欠だ。一方で中東では、米国の関連施設などを狙ったイランの報復攻撃からの防衛のため、パトリオットが大量に使用されている。
こうした中、米側からは、ウクライナ向けのパトリオットを中東に振り向ける可能性を示唆する発言が出ている。
「もし米国のために必要となれば、米国を最優先する」。ルビオ米国務長官は27日、訪問先のフランスで記者団に振り向けの可能性について問われ、否定しなかった。ルビオ氏は、現状では「まだ起きていない」とも述べた。
さらに英フィナンシャル・タイムズ(FT)は4月1日、トランプ米大統領が3月、欧州各国に対し「ウクライナへの兵器の供給を止める」と脅したと報じた。トランプ氏はイランが事実上封鎖したホルムズ海峡を巡り、欧州諸国が開放に協力しないことに腹を立てたとみられる。
欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、米国から兵器を購入するための資金を出してウクライナを支える。FTによると、対応を迫られた英仏独など欧州諸国は3月19日、「ホルムズ海峡の安全な航行のため貢献する準備がある」との共同声明を急きょ発表したという。
ゼレンスキー氏は4月3日、記者団に対し、パトリオットの供給が停止する事態に「備えなければならない」との考えを表明。「対弾道ミサイル(の防衛技術)を開発することが必要だ」との認識を示した。
ただ、パトリオットに代わる防空システムを短期間で確保することは困難だ。実際に供給が止まれば、ロシアのミサイル攻撃による被害が拡大する恐れがある。ゼレンスキー氏はアクシオスに対し「イラン攻撃が長期化すればロシアの利益になる」と警告した。【ベルリン五十嵐朋子】
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