「なだめ役」NATOトップ、トランプ氏と会談へ 中東情勢焦点
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は8日、米首都ワシントンでトランプ大統領と会談する。対イラン軍事作戦への協力に消極的な欧州の同盟国に不満を募らせるトランプ氏は、NATO脱退の可能性に言及している。中東やウクライナ情勢が議題になるとみられるが、トランプ氏の「なだめ役」を担ってきたルッテ氏が欧米関係の悪化に歯止めをかけることができるかが注目される。
「イランが核とミサイルの能力を併せ持てば、世界の安定に直接的な脅威となる。トランプ大統領が行っていることは極めて重要だ」。ルッテ氏は3月22日、米CBSニュースのインタビューでそう強調した。
イランへの軍事作戦に一定の理解を示すルッテ氏だが、NATO加盟国の米国への不信感は根強い。
そもそも米国は同盟国への事前の調整や相談もないままイスラエルと共同でイランへの攻撃に踏み切った。攻撃が国際法違反との指摘もあり、イランとの交戦は「我々の戦争ではない」(ドイツのピストリウス国防相)と冷ややかに見る向きが強い。
トランプ氏は、イランが事実上封鎖するホルムズ海峡の安全確保に向けて同盟国らに艦船の派遣などを求めている。しかし、NATO加盟国は交戦が収束するまでは応じない構えだ。
欧州側の対応にトランプ氏は怒りをあらわにしている。英紙フィナンシャル・タイムズによると、3月にはウクライナへの武器支援停止をちらつかせ、海峡の封鎖解除のための「有志連合」への参加を欧州の同盟国らに要求したという。英紙テレグラフが今月1日に報じたインタビューでは、NATO脱退を強く検討していると述べ、再考の余地はないなどと不満をぶちまけている。
ルッテ氏はこれまでトランプ氏の機嫌を損なわないようにして良好な関係を築いてきた。トランプ氏が1月にNATO加盟国であるデンマークの自治領グリーンランドの領有を要求した際も会談。米国とNATOで北極圏の安全保障などを含めた将来の枠組みを構築することで一致し、事態を収拾している。
ルッテ氏は12日までワシントンに滞在する予定で、ルビオ国務長官やヘグセス国防長官とも協議する。【鈴木一生】
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