早期解散方針、野党「話が違う」 選挙区調整や短期決戦に焦り

2024/09/30 21:15 

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 自民党の石破茂新総裁が30日、衆院選を「10月27日投開票」という実務上最短の日程で実施すると表明したことに、野党各党は一斉に反発した。この日程では解散前に国会論戦を十分に行うのは困難。石破氏は総裁選で国会論戦を通じて有権者に判断材料を示してから衆院を解散する考えを示してきただけに、「話が違う」「変節だ」などとの批判が相次いだ。

 立憲民主党の野田佳彦代表は東京都内で記者団に「(10月1日召集の)臨時国会では(政治への)信頼を取り戻すため、政治とカネの問題も含めて議論すべきなのに、くさいものにふたをしたとしか思えない」と語気を強めた。

 石破氏の「解散」表明に先立つ30日午前、自民の浜田靖一国対委員長が立憲の笠浩史国対委員長と会談し、臨時国会の会期を9日までとすると提案した。野党側が求める一問一答形式の予算委員会開催などには言及がなく、笠氏は拒否。その後の衆参両院の議院運営委員会理事会で与党側から会期の正式提案があったが、野党各党は予算委開催を一致して要求し結論は持ち越された。

 こうした自民の手法について、共産党の田村智子委員長は党本部で「党利党略、裏金隠し、疑惑隠しで逃げ切りを狙うというやり方は非常に問題が大きい」と指摘。「何もかも手のひら返しだ。自民党が追い詰められている姿を示している」と述べた。

 日本維新の会の藤田文武幹事長も、石破氏は「筋を通す、正論を突き進んでいる」政治家だったからこそ世論の人気が高かったとし、「筋を通す人間ではなかったのか」と投げかけた。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は、石破氏が国会で首相指名を受ける前に表明したことを問題視した。「首相の最大の権限のひとつである解散権を、まだ首相ではない者が言明することに強烈な違和感を感じた」とし、「自民党を変えてくれるという期待の中で選ばれたのに、自民党を変える前に自分自身が変わってしまった。国民の政治に対する深い不信感を払拭(ふっしょく)できるのか、早くも赤信号がともった」と断じた。

 野党の反発は焦りの裏返しでもある。野田氏が野党各党に呼びかけている「(自民の)裏金議員に対してペナルティーを与える」ための選挙区調整交渉は緒に就いたばかりで、短期決戦になると難易度が格段に高まるためだ。

 野田氏の呼びかけに関し玉木氏は30日、「(野田氏に)直接うかがって判断していきたい」と連携に含みを持たせたが、藤田氏は「裏金議員(への対抗馬)は一本化したほうがいいという意見は拝聴に値する」としつつ「選挙実務を預かる私としてはかなり難易度は高い。正々堂々と政策を訴えて政権の過半数割れを目指すことに尽きる」と述べ、連携に慎重な姿勢をにじませた。

 田村氏は、野田氏が集団的自衛権の行使を一部容認する安全保障法制の継続を示唆していることに言及し「共闘の基盤はそこ(裏金議員への一本化)ではない」と反論。安保法制への対応を曖昧にしたままの「一本化ということはあり得ない」とした。【源馬のぞみ、田中裕之、田辺佑介】

毎日新聞

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