安倍派裏金づくり、核心部分は不明のまま 会計責任者に有罪判決
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた清和政策研究会(安倍派)事務局長兼会計責任者の松本淳一郎被告(77)に対し、東京地裁は30日、禁錮3年、執行猶予5年(求刑・禁錮3年)の有罪判決を言い渡した。
清和政策研究会(安倍派)の裏金づくりはいつ始まり、どう続いてきたのか。事件のキーパーソンとされた松本被告は法廷で事実の一端を明らかにしたものの、核心部分では口を閉ざした。
安倍派では、2022年4月に、長年続いてきた還流の中止が安倍晋三元首相の指示で一度は決まったが、22年7月に安倍氏が銃撃事件で死去した後に、継続することになったとされてきた。
何をきっかけに、還流継続が議論されることになったのか、その経緯ははっきりと分かっていなかった。
松本被告は被告人質問で、安倍氏の死亡後に「ある幹部議員から『ある議員が還付(還流)の復活を求めている』と言われた」と説明。当時の会長代理の塩谷立元文部科学相に相談し、22年8月になって派閥幹部4人が協議した結果、還流継続は「やむなしという結論に至った」と明かした。
一方で、松本被告は、自身に還流継続について持ち出した幹部議員が誰だったのかや、派閥幹部の協議で誰がどのような発言をしたのかに関しては詳細を語らなかった。
「虚偽記載の中止を派閥幹部に進言していたことがある」とも主張したが、いつ、誰に進言し、どんな反応があったか、具体的には踏み込まなかった。
もう一つの焦点だった裏金づくりが始まった時期についても、検察側は「以前から続いてきた」としか触れなかった。19年2月に会計責任者に就任した松本被告も「以前から続いてきた」と述べるにとどめたため、裏金事件は依然として多くの謎が残されたままになっている。【岩本桜】
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