日インドネシア首脳会談 海洋安全保障での協力強化を確認

2025/01/11 20:35 

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 石破茂首相は11日、インドネシアのプラボウォ大統領とジャカルタ近郊ボゴールの大統領宮殿で約1時間50分会談した。両首脳は、日本がインドネシア海軍向けに高速警備艇を無償供与することで合意。「自由で開かれたインド太平洋」の実現を通じ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していく重要性も確認した。石破首相はプラボウォ氏を今年中に日本に招待すると伝えた。

 石破首相は会談で「共に島国、海洋国家、貿易国家であり、米国と中国の大国の間にあって、その関係、バランスに配慮しながら外交を進めていく点において非常に似ている」と表明。プラボウォ氏は「両国の包括的・戦略的なパートナーシップを一層強化するため、さまざまな分野の協力を具体化していきたい」と述べた。

 中国が東シナ海や南シナ海で覇権主義的な行動を強める中、石破首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)で最大の人口と経済規模を持つインドネシアと海洋安全保障面での協力強化に踏み込んだ。

 高速警備艇は、日本が同志国の軍に装備品を提供する枠組み「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に基づいて供与する。両首脳は防衛装備品や技術協力を含む海洋安全保障について、両国の防衛実務者が協議することで一致。2021年以来となる外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を今年中に開催することでも合意した。

 日本政府によると、両首脳は、エネルギー安全保障の確保や脱炭素化に向けた資源・インフラ協力▽インドネシアへの防災支援▽貧困対策などとしてインドネシアが進める給食普及に向けた日本の専門家派遣▽人材育成に向けた相互往来などで合意。日本外務省は11日、インドネシアの行政官管理育成に向けて約70億円の円借款を実施すると表明した。

 インドネシアは6日にASEANで初めて主要新興国BRICSへの加盟を果たした。石破首相は10日にはマレーシアのアンワル首相とも会談しており、今回の外遊を通じ、国際社会での存在感を増す「グローバルサウス」(新興・途上国)との関係強化を目指した。

 ASEANの最大の貿易相手国である中国は、巨額の経済協力をテコに域内での影響力を増大させている。一方、20日に就任する米国のトランプ次期大統領は「米国第一主義」を掲げ、ASEANへの関与低下が懸念されている。法の支配に基づく国際秩序を維持する上で、日本はインドネシアとの協力が不可欠とみている。

 一連の外遊日程を終えた石破首相は11日、政府専用機でインドネシアのスカルノ・ハッタ国際空港を出発し、帰国の途に就いた。【ジャカルタ金寿英】

毎日新聞

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