「外国人政策・移民・労働力」が急上昇 参院選“ネット世論”を分析

2025/07/27 17:30 

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 参院選の期間中に交流サイト(SNS)などのネットプラットフォームで最も話題に上ったトピックは「外国人政策・移民・労働力」だった――。情報分析会社Meltwater(メルトウオーター)が参院選中の投稿23万件余りを分析し、ネット空間での人々の関心を可視化した。

 分析対象は、公示日の7月3日から投開票日の20日までのX(ツイッター)やインスタグラム、オンラインニュースのコメント欄への書き込みなど約22万8000件。

 投稿や書き込みなどの数を示す「発話数」、どれだけのユーザーが投稿などを表示したかを示す「リーチ数」、返信や引用などの反応数である「エンゲージメント数」などを用いて、話題の広がりと関心の高さを視覚的に捉えられるようにした。

 この定量分析では、トピックや政党に対する批判的な投稿もデータにはカウントされているため、数値が高いからといって全てが肯定的な投稿ではない点に留意が必要だ。

 ただ、ネット空間での関心の推移を追えるため、選挙戦における「もう一つの世論」の構造をうかがい知ることができる。

 ◇「物価」「消費税」は熱量で及ばず

 公示直後は「物価高・生活コスト」と「税制・消費税・インボイス」のトピックが発話数では圧倒的だったものの、8日には「外国人政策・移民・労働力」が追い抜き、選挙戦終盤まで高水準を維持した。

 選挙中の関連する投稿数に占める割合を占めす占有率(SOV=シェア・オブ・ボイス)で主要トピックについてみると、「外国人政策・移民・労働力」が31%を占め、「税制・消費税・インボイス」(21・7%)や「物価高・生活コスト」(16・1%)などを抑えてトップとなった。

  投稿の拡散先や反応状況も分析された。

 「外国人政策・移民・労働力」に関する投稿のリーチ数は約2730万件。いいね・引用・返信などで反応は116万件を超え、エンゲージメント数において他の主要トピックを圧倒していた。

 選挙期間中、ユーザーの関心が比較的安定していた「税制・消費税・インボイス」と「物価高・生活コスト」は、リーチ数では外国人政策を上回ったがエンゲージメント数で水をあけられた。

 より多くの人の目には触れたものの、反応という「熱量」では大きな差がついたことが浮き彫りとなった。

 ◇政党分析では自民が突出

 一方、政党に関するデータをみていくと、政党に関する発話数では、自民党が約16万6000件となり、政党に関する発話数の割合を示したSOVは34・5%を占めて最多となった。

 政党別のリーチ数とエンゲージメント数の分析で突出していた。

 投開票日が近づくにつれ投稿数も増加し、20日には自民党関連の投稿が2万件を超えて急増した。

 正確な理由は不明だが、20日夜には報道各社が出口調査を基に与党の劣勢を伝えていたことから、政局を巡る言及が急増したことも要因となった可能性がある。

 ◇頻出ハッシュタグは?

 今回、14議席を獲得し注目を集めた参政党のSOVは15・3%で自民党に次いで高く、国民民主党(11・3%)、立憲民主党(10・5%)、公明党(9・3%)が続いた。

 頻出のハッシュタグ分析では、各政党名のハッシュタグ以外もあった。

 参政党が掲げる「#日本人ファースト」や「#参政党旋風」などのほか、「#参政党に騙されるな」などもあり参政党を巡るハッシュタグが複数あった。

 一方、政権与党である自民党に関しては「#自民党政治を終わらせよう」と「#自民党を選挙で落とせ」というネガティブなタグも頻出した。【隈元悠太】

毎日新聞

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