自衛隊の「重要物品」管理に不備 12億円分が報告書に計上されず

2025/10/17 17:55 

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 米政府の有償軍事援助(FMS)で調達された防衛装備品について会計検査院が管理状況を調べたところ、54品目計12億7390万円分の「重要物品」が自衛隊作成の物品報告書に計上されていなかったことが判明した。これに伴い、本来必要な国会への報告もなされず、検査院は「『重要物品』は毎年度、数量や購入価格を国民に明らかにする性質のもの。正しく管理、公表されていないことは不適切だ」と指摘した。

 重要物品は国が管理する物品の中から、物品管理法に基づいて財務相が指定する。各省庁は取得や保管、処分などの状況を記録した物品報告書を作成し、その内容は内閣を通じて国会に報告される。米政府が同盟・友好国に最新鋭の防衛装備品を有償で提供するFMSを通じて防衛省が調達した「FMS物品」も、これに該当する場合がある。

 検査院によると、陸海空の各自衛隊に2020~23年度に配備されたFMS物品のうち、重要物品に該当する54品目が物品報告書に計上されていなかった。内訳は、陸自・3品目計3076万円▽海自・1品目計1億193万円▽空自・50品目計11億4121万円――で、空自が突出していた。

 空自は、三沢基地(青森県)配備の米国製大型無人偵察機「グローバルホーク」を巡り、整備機材など164品目を物品報告書の元資料となる管理簿に記録しておらず、そのうち重要物品に該当する50品目計11億4121万円分が報告書に未計上となった。

 陸自と海自は、FMS物品を速やかに管理簿に記録する重要性の理解が十分でなかったことなどが原因という。【山田豊】

毎日新聞

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