自維、議員定数削減で合意へ 自民譲歩、協議まとまる見通し

2025/10/17 18:19 

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 自民党は連立入りを含めた日本維新の会との政策協議を巡り、維新が実現を求める議員定数削減を受け入れる方針を固めた。維新が16日に自民に示した12の政策項目では、議員定数削減について国会議員の1割を目標に今秋の臨時国会で法案を成立させると記されている。削減人数や衆・参、比例・選挙区などの削減対象の詳細は引き続き協議し、臨時国会召集前日の20日までの合意を目指す。自民が譲歩したことで、合意する見通しとなった。関係者が17日明らかにした。

 石破茂首相の後任を決める首相指名選挙を巡り、維新の藤田文武共同代表は自民との政策協議が続いているため「野党側の連携は難しい。これ以上続けるのは失礼に当たる」と述べ、立憲民主、国民民主両党との首相候補一本化を巡る協議を打ち切る考えを伝えたと明らかにした。維新は自民と合意すれば自民の高市早苗総裁に投票する考えを示しており、その場合は高市氏が首相に選出される公算が大きい。

 ただ、政権の枠組みは定まっていない。両党関係者によると、自民は政権運営を安定させるため、維新に複数の閣僚ポストを打診して連立入りを要請している。一方、維新側は閣外協力からの連携を模索している。

 17日に国会内で行われた2回目の協議には、自民の高市氏、維新の藤田氏と両党の幹事長、政調会長が出席した。藤田氏は会合後の記者会見で「大きく前進したものと受け止めている。今後、最終の詰め、調整を行っていく」と語った。自民の小林鷹之政調会長も「大きく前進した」と同様の認識を示した。

 関係者によると、高市氏は17日、会合に先立ち党幹部と党本部で会談し、議員定数削減を容認する方針を確認したという。維新の吉村洋文代表は17日、インターネット番組で衆院定数465のうち50人程度が削減対象になるとの見方を示した。

 吉村氏は当初、災害時の首都中枢機能のバックアップを担う「副首都構想」と社会保険料引き下げを含む「社会保障改革」の二つを自民が受け入れることが「絶対条件」と強調していた。だが、自維の政策協議が始まった後の16日夜以降、議員定数の削減が「政治改革の本質」「連立の絶対条件」と語るようになった。

 政治改革の項目を巡っては、維新が求める企業・団体献金廃止が交渉のネックとみられていた。自民は献金の規制強化にすら難色を示し、公明党が連立離脱する契機となったため、自民と維新の溝は際立っていた。維新が「身を切る改革」として掲げる議員定数削減について要求を強めたのは、企業・団体献金廃止が争点化するのを避ける狙いとみられる。

 自維両党は比例の定数削減を念頭に置いているとみられる。だが、得票率に応じて議席が配分される比例は、中小政党でも議席を獲得できるため、他の野党からは反発が出ている。公明の斉藤鉄夫代表は現行の衆院の小選挙区比例代表並立制について「少数意見の民意の反映ということで比例部分が導入された」と記者団に述べ、維新の提案をけん制。共産、社民両党は反対を表明した。

 また、自民の梶山弘志、立憲の笠浩史両国対委員長は17日、国会内で会談し、首相指名選挙を臨時国会召集日の21日に行う方向で大筋合意した。会期を12月17日までとすることでも合意した。【園部仁史、鈴木悟】

毎日新聞

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