<読む政治>紛争当事国への武器輸出に余地 自民、「特段の事情」で容認も検討
政府・与党は防衛装備品の輸出拡大を巡り、紛争当事国への輸出は原則認めないとしつつ、日本の安全保障上の必要性を考慮した上で「特段の事情がある場合」には容認する検討に入った。自民党内には、有事が発生した場合の台湾も武器輸出の対象となり得るとの見方が浮上しており、対象国を巡る議論が今後活発化しそうだ。自民は来週中にも提言の原案を取りまとめ、3月上旬にも政府に提出する方針。
政府は防衛装備移転三原則の運用指針を見直し、輸出できる分野を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」の5類型に限定する現行ルールを撤廃する方針だ。ミサイルなど殺傷能力の高い武器も輸出できるようになり、自民が具体的な見直し案を検討している。
自民は19日、党安全保障調査会の幹部会合を党本部で開催。会合後、小野寺五典元防衛相は、紛争当事国への武器輸出について記者団に問われ、「武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国への移転は、我が国の安全保障上の必要性を考慮して、特段の事情がある場合を除き、原則不可という形をとりたい」と説明した。
防衛装備移転三原則は「紛争当事国」への移転を禁止している。このため、政府はロシアから侵攻を受けるウクライナなど「被侵略国」に対しては、防弾チョッキなど殺傷能力のない装備品に限って輸出を認めるなど、限定的な運用をしてきた。だが、今回は「被侵略国」という考え方は取らず、日本に対する安全保障上の影響を考慮し、特段の事情があれば武器輸出の道を開くことになる。
自民の国防族議員は、対象国について「アジアや欧州など幅広く該当する可能性がある」としつつ、「台湾についてももちろん含まれる」と指摘した。自民ベテランは「外交上の仲間を増やすには幅を持たせることが大事だ。台湾が含まれるかはその時の政治状況次第だ」と含みを持たせた。
自民提言案ではミサイルなどの武器について、首相や関係閣僚が出席する国家安全保障会議(NSC)で輸出の可否を厳格に審査する。防弾チョッキなど攻撃目的で使用しない装備品は、政府内の事務レベル協議で可否を判断する。
輸出先については「防衛装備品・技術移転協定」の締結国に限る方針だ。日本は米国やオーストラリアなど十数カ国と協定を締結しており、法の支配などの価値観を共有する国に対象を絞る。一方で、日本の安保環境への影響を考慮し、対象国・地域を柔軟に判断することも検討している。
輸出を決める際に閣議決定は原則不要とし、国会にも事後報告とする方向で調整している。歯止め策や外部のチェックが機能するか、議論になる可能性がある。【遠藤修平、竹内望】
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