普天間返還合意、12日で30年 返還の先行き見通せないまま
日米両政府が1996年に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の全面返還に合意して12日で30年となる。政府は返還条件とされた県内移設に向け、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部で埋め立て工事を進める。ただし、工事が順調に進んだとしても移設完了は2036年以降とされ、合意時点で「5~7年以内」とされた返還の先行きは見通せないままだ。飛行場周辺の住民はその間も、事故の危険性や騒音などの被害にさらされている。
「騒音や環境汚染、米軍人などによる事件・事故に県民が苦しめられる現状は、返還合意の趣旨と大きく乖離(かいり)し、極めて遺憾だ」
沖縄県の玉城デニー知事は10日、定例記者会見でそう指摘し、日米両政府に対し「普天間飛行場の速やかな運用停止と早期返還は、辺野古移設に関わりなく実現すべきだ」と訴えた。
沖縄県には在日米軍専用施設面積の7割が集中する。第二次世界大戦末期の沖縄戦(45年)中と戦後の米国統治時代に建設された米軍基地は、72年に日本に復帰した後も遅々として返還が進まなかった。95年には米兵3人が小学生女児を暴行する事件が発生。反基地感情の高まりを受け、日米両政府は普天間飛行場の全面返還に合意した。
しかし、多くの県民は県内移設の返還条件に反発。政府は民意を押し切る形で17年に移設工事に着手したが、埋め立て予定海域では広範囲で軟弱地盤が見つかり、大規模な地盤改良工事が必要になった。工事は難航も予想され、政府は返還時期を明示していない。
佐喜真淳(さきまあつし)宜野湾市長は10日、記者団に「普天間飛行場は県民の基地負担の象徴で、返還は県民の悲願だ」と強調。「返還が実現していないのは悔しく、悲しく、遺憾だ」と険しい表情で語った。
沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる木原稔官房長官は「返還が実現していないことを重く受け止める」とした上で、「政府としては辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき、着実に工事を進めることが一日も早い全面返還を実現し、危険性を除去することにつながると考えている」と述べた。【平川昌範、高橋祐貴】
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