良質な作品を今後も 静岡のミニシアターが映写機入れ替えでCF

2024/11/07 13:04 

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 静岡市にあるミニシアター「静岡シネ・ギャラリー」(葵区御幸町)が、更新時期を過ぎたデジタル映写機の入れ替え費用を集めるためクラウドファンディング(CF)を開始した。既に不具合で上映トラブルも発生しており、「世界の良質で多様な映画をこれからも上映していけるよう支援してほしい」と呼び掛けている。【丹野恒一】

 同館は隣接する寺が1995年、仏教の聖地をイメージした檀信徒会館「サールナートホール」として建設。2003年、一部を改装してミニシアターになった。作品の動員力や娯楽性よりも質にこだわった独自の編成で年間180本以上を上映。監督や俳優を招いた舞台あいさつやトークショーなどにも力を入れている。

 同館副支配人の川口澄生さんらによると、全国のミニシアター業界では10年余り前にフィルム映写機からデジタル映写機への移行が一気に進んだ。フィルムの時代には映写技師が1台ごとの癖に合わせて調整しながら50年以上使うこともあったが、デジタル機ではそうはいかない。基盤など修理部品の在庫切れや保証期間の終了で一斉に更新時期を迎えているが、資金力に乏しいミニシアターには負担が大きく、閉館を検討する館も少なくないという。

 同館でも初代のデジタル映写機は映像の乱れで上映を中断するようなトラブルが起きるようになり、三つあるシアターのうち1台は昨年末に更新した。今回のCFでは、最も大きい「1階大ホール」(245席)の新映写機(1225万円)導入を目指す。自己資金は500万円。工事代や諸費用などとして、不足する1000万円を募るという。

 CF期間は2025年1月9日まで。3000円~100万円の支援額に応じた返礼品として、貸し切り上映会の開催や「映画のあしながおじさん」になって中高生100人に無料鑑賞の機会をプレゼントできる権利などを用意している。

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 同館では15日から映画「拳(けん)と祈り―袴田巌の生涯―」(笠井千晶監督)を公開する。1966年に起きた一家4人殺害事件のやり直し裁判で無罪が確定した袴田さんと姉秀子さんに密着したドキュメンタリーだ。

 翌16日には午前10時10分からの上映後、笠井監督と秀子さんによる舞台あいさつが行われる。

毎日新聞

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