「半歩ずつ」でも前に 能登半島地震から1年 輪島で追悼式
最大震度7を観測し、500人以上が死亡した能登半島地震は1日、発生から1年を迎えた。石川県は同日、同県輪島市の日本航空学園能登空港キャンパスで、地震と9月の能登豪雨の追悼式を開催し、遺族や被災自治体関係者、石破茂首相ら計445人が参列した。地震発生時刻の午後4時10分に合わせて黙とうをささげた。
馳浩知事は式辞で「ご遺族の悲しみは計り知れず、胸が締め付けられる」と哀悼を表明。全国からの支援に謝意を示すとともに、「このたびの複合災害は復旧・復興への道のりがいかに長く険しいものかという事実を突き付けている」とし、復興への決意を新たにした。
石破首相は「被災者の恒久的な住まいの確保、災害廃棄物処理の加速、インフラの本格的復旧、地域産業の再生など取り組むべき課題はまだ数多く残されている。被災者一人一人の気持ちを受け止め、生活となりわいの再建、被災地の創造的復興に政府一丸となって取り組んでいく」と述べた。
発生当時に在任中だった岸田文雄前首相は被災地視察を振り返り、「すさまじい地震の爪痕に被害の甚大さを実感し、避難生活の過酷さを痛感した。ボランティアや医療・福祉関係者の方々の尽力に勇気付けられた」と話した。
遺族を代表して、地震による家屋倒壊で父洋一さん(当時82歳)を亡くした小林由紀子さん(53)=同県穴水町=があいさつに臨み、「突然の出来事に悲しみ、絶望感にうちひしがれた」と振り返った。洋一さんから受け継いだ衣料品店ががれきの山に変わった被災状況や、店の営業再開を振り返り、「半歩ずつですが、夫と共にこの店を守り抜く。それが父への感謝であり、地域の皆さんへの恩返しだと考えている」と語った。
能登半島地震は、帰省した人も含めた一家だんらんの新年を直撃した。2024年12月27日時点で504人が犠牲となり(うち災害関連死276人)、2人が行方不明のままだ。県内だけで住家被害は全壊約6000棟を含めて約10万棟に及び、土砂崩れ、津波、液状化などさまざまな被害が発生。過疎高齢化が進む地域の状況を深刻化させ、日本が直面する諸課題を浮き彫りにした。
24年9月21日には能登半島北部を中心に豪雨に見舞われ、16人が亡くなった。多くの家屋や地震の被災者向けの仮設住宅が浸水するなど、復興途上の被災地にさらなる打撃となった。【深尾昭寛、国本ようこ】
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