開幕まで3カ月の大阪・関西万博 パビリオン「完成」はわずか3カ国
大阪市の夢洲(ゆめしま)で開かれる2025年大阪・関西万博(4月13日~10月13日)は13日で開幕まで3カ月となる。参加国が自前で建設するタイプのパビリオンは急ピッチで工事が進むが、少なくとも建物が「完成」したのは47カ国中3カ国で、10カ国近くで内装などの仕上げが間に合わない事態も想定される。
万博には158カ国・地域と9国際機関が参加を予定し、約2820万人の来場者を見込む。参加国が自前で建設する「タイプA」のパビリオンは「万博の華」とされ、当初約60カ国が出展を希望していた。しかし、資材価格や人件費の高騰で建設業者との契約が難航。簡易型への移行や撤退が相次ぎ、最終的に47カ国で固まった。
最初の着工は24年1月のシンガポールだった。開幕1年前の段階で着工に至ったのは14カ国。日本国際博覧会協会(万博協会)は大型重機を使った工事の完了期限を当初想定から約3カ月遅らせ、10月中旬までに緩和した。それでも遅れは取り戻せず、最後のマルタが着工したのは12月9日だった。
想定では今年1月中旬には、全ての海外パビリオンで内装・展示を含めた工事が完了しているはずだった。万博協会によると、10日時点で、建物の完成を示す「完了検査」を通過したのは、アイルランド、韓国、フィリピンの3カ国のみ。協会の石毛博行事務総長は24年12月の記者会見で、改めて一部の国が未完成のまま開幕を迎える可能性を示唆。ある協会幹部は10カ国近くが間に合わない可能性に触れ「来場者の安全が第一。開幕後に許容できるのは建物内の工事だけだ」とくぎを刺す。
新たな問題も浮かぶ。タイプAから協会が建設を代行する簡易型への移行を表明していたイランは、12月に国内事情による撤退が明らかになった。簡易型は建設後に参加国から費用を回収する仕組みだが、協会幹部によると、イランは完成した建物の引き渡しが済んでいなかったため建設費を回収できず、違約金も取れない見込みという。別の用途に改修するための費用も必要で、日本側の負担がかさむことになる。【東久保逸夫】
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