小学3年生、国家資格に合格 「電工少年」の夢はロボット博士
堺市北区の小学3年生、島田玲(れい)さん(9)が、国家資格の「第2種電気工事士」に合格した。将来の夢はロボット博士で、電気回路など基礎を学ぶ一環として受験した。「感情を持って人を助けるロボットを作りたい」と話している。
島田さんは公園で友だちとの鬼ごっこやゲーム遊びをするのが好きで、英会話や書道なども習っている。ともに放射線技師の父暢輔(ようすけ)さん(43)と母瑠璃子さん(43)は「口が達者で、昔のテレビアニメの『一休さん』のような負けず嫌いな子」と話す。
4、5歳時に見たテレビアニメのキテレツ大百科に登場するロボット・コロ助を見て「自分も作ってみたい」と思ったのがきっかけ。6歳からロボットを作ってプログラミングも学ぶ近くの教室に、毎週通うようになった。
第2種電気工事士は住宅や商店などの電気設備工事に必要な資格。電気に関する基礎理論や電気工事の施工方法などの知識を問う筆記試験と技能試験で構成され、年2回実施される。暢輔さんが3年前に筆記を通過した縁もあり、2024年度下期での取得を目指すことになった。
筆記試験には「遮断」といった小3では学校で習わない漢字が多数出題される。暢輔さんが漢字の読み方や意味を教え、過去10年分の問題を繰り返し解くなどを重ね、見事通過した。
技能試験は事前に公表された13の候補問題から一つが出題され、どんな問題にも対処できる力が求められる。企業など指導してくれる講習先を探したが小3で力が弱いことなどを理由に複数で断られた。受け入れてくれたのが摂津市の星翔高校で、昨年11~12月の週2回の平日夜、暢輔さんが車で片道1時間半をかけて送り迎えした。
高田真和教諭(48)と小吹佳志教諭(35)が指導。専用のペンチで複数の配線を切るなどの工程は力が必要なため苦手意識を持っていた島田さんに、立って体重をかけて作業をしてよいことなどをアドバイスした。
講習で間違えた点を意識し、動画投稿サイト「ユーチューブ」も参考にしながら自宅で繰り返し練習したという。高田教諭らは「素直で向上心がある子。講習の途中から手がよく動くようになったので、反復練習をこなしたのがよく分かった」と目を細める。
今年1月下旬に合格。小3での合格は珍しいという。島田さんは「筆記はパズルを解くみたいで、技能は作る楽しさを学べた」、瑠璃子さんは「親の方がくじけそうだったが、コツコツと積み重ねて勝ち取ったのはうれしい」と話す。
力の弱い自分でも合格できたことを知ってもらおうと、ユーチューブで「電工少年」の名前で使用した工具の紹介などをしている。一部の工具は筆記試験の合格祝いで、暢輔さんの知人がプレゼントしてくれた。一回り小さくて扱いやすかったという。
多くの大人が支えてくれたことに対し、島田さんは「みんなに感謝しかない。頑張ってロボット博士になりたい」としている。【新宮達】
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