袴田巌さん弁護団「苦労に少しは報いることができる」 刑事補償決定

2025/03/25 14:17 

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 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件で、再審無罪が確定した袴田巌(いわお)さん(89)の弁護団は25日、静岡市内で記者会見を開き、袴田さんに計約2億1700万円の刑事補償金を支払うとの決定を静岡地裁が出したと明らかにした。刑事補償としては過去最高額とみられ、弁護団は「袴田さんの苦労に少しは報いることができる」としている。

 24日付の決定で国井恒志裁判長は、66年8月18日に逮捕された袴田さんが47年7カ月にわたって身柄を拘束され、うち33年は死刑執行のために拘置されていたことを挙げ、「被った精神的、身体的苦痛は極めて甚大だ」と指摘した。

 事件の捜査では、捜査機関による非人道的な取り調べや、証拠の捏造(ねつぞう)があり、こうした経過を踏まえれば、袴田さんに支払われる補償金額は、弁護側が求めていた刑事補償法の上限額である1日1万2500円とするのが相当だと認めた。

 弁護団事務局長の小川秀世弁護士は会見で地裁決定を一定評価しつつ、「2億円ではとても償いきれないような過ちを国家は犯した」と述べた。袴田さんの姉秀子さんには電話で決定を知らせたといい、「よかった、よかった」と受け止めていたという。

 弁護側は静岡県警と静岡地検が違法な捜査を行ったとして、県と国に冤罪(えんざい)の責任を問う国家賠償請求訴訟を起こす方針。【丘絢太、丹野恒一】

毎日新聞

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