<フォーカスオンEXPO>「リング」で黄色いかっぱを見て実感 大阪で55年ぶり万博

2025/04/15 07:30 

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 万博が55年ぶりに大阪に帰ってきた――。大阪・関西万博でそのことを実感する出来事があった。雨に見舞われた開幕の日、大屋根リング上でひときわ目立つ黄色い阪神タイガースの雨がっぱを羽織ったおっちゃんが目に飛び込んできた。

 「いいですね、そのかっぱ」。怖いおっちゃんかもしれないと思いつつ、恐る恐る声をかけてみた。「そやろ。ミャクミャクよりタイガースや」。やっぱり関西では阪神ネタはテッパン、心強い。「黄色で目立ってええやろ。さっき他の子供も着てたで」と教えてくれた。「今年は2軍の試合にもう3試合行った」。阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)だけではなく、今春完成したばかりの2軍の本拠地「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」(同県尼崎市)にも足が向く熱心なファンだ。「今度は巨人戦や」。25日に甲子園である巨人との試合の観戦が楽しみという。

 前回大阪で万博があった1970年、関西には阪神のほかに南海ホークス、近鉄バファローズ、阪急ブレーブスの各球団があった。55年の時を経ても本拠地とチーム名が変わらないのは阪神だけだ。黄色いかっぱを見て何となくほっとしたのはそのせいかもしれない。

 「ほな自分はこっち行くわ」。雨の中、おっちゃんはさっそうと歩いていった。「万博のこと聞くの忘れてた……」。そう思いながら後ろ姿を見送った。【写真・文 大西岳彦】

毎日新聞

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