「TBSC」開設 官民共同で台湾企業の立地促進目指す 福岡・豊前

2025/04/15 06:30 

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 官民共同で、台湾企業の立地促進を目指す「台湾ビジネスサービスセンター(TBSC)」が、福岡県豊前市八屋のコミュニティー創出拠点ZigZag(ジグザグ)に開設された。14日にあった開設の記念式典で早速、台湾の2社が進出に向けた手続きを開始したことが報告された。

 センターは、市と台湾の経済団体「中華民国全国商業総会」、一般社団法人「日本国際交流協会」(東京都)の3者で設置。台湾企業が日本に進出した際の課題として、現地での会社設立や税務、ビザの取得、銀行口座開設などの手続きが煩雑であることなどが課題だったといい、TBSCがワンストップで関係機関につなぐことが期待されている。運営費は台湾側が負担する。

 市は2021年、台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処(総領事館に相当)と学生の相互訪問などに関する協定を締結するなど交流を進めてきた。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県で量産を始め、関係企業などの九州への進出意欲が高まっており、この商機を生かす。

 式典には、市や商工関係者、台湾側などの約110人が出席した。後藤元秀市長は「豊前市を拠点に多くの(台湾)企業が進出を進めてほしい」とあいさつ。テープカットで祝った。

 進出手続きを進める2社のうち、1社は台湾高雄市の経営コンサルティング会社。市内でホテルやカフェの経営を検討しており、同社の陳延宏・最高経営責任者(52)は「市の手厚いサポートを期待している」と話した。商業総会の許舒博理事長は「米の関税強化の危機があり台日間で取引を強化できれば」と期待を寄せた。

 市商工観光課は「センターの取り組みをきっかけに、製造や小売りを問わず台湾企業の誘致につながれば」と話している。

 ◇日本と台湾の懸け橋になりたい

 豊前市に「台湾ビジネスサービスセンター」(TBSC)が開設されたことに伴い、同市に地域おこし協力隊員として着任したのが、台湾の陳沛樺(ちんはいか)さん(30)だ。陳さんはTBSCで通訳やSNS(交流サイト)を使った情報発信に取り組むといい、「日本と台湾の懸け橋になりたい」と張り切る。

 台湾北西部・苗栗県出身。台湾真理大で日本語を専攻し、千葉県に留学経験がある。今回、大学の先輩らの紹介があり、隊員に応募した。

 センターでは日本語スキルを生かした通訳業務に加え、情報発信でインバウンドの誘客につなげることを目指す。陳さんは「豊前市は故郷と似た雰囲気があり、親しみを感じる。この地域に貢献できるように頑張っていきたい」と話す。【出来祥寿】

毎日新聞

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